準強制わいせつ罪で起訴の判事、罷免訴追されない見通し

http://www.asahi.com/national/update/0317/TKY200903170357.html

憲法は裁判官の任期を10年と決めており、一木判事の場合は4月10日に満了するため、訴追されたとしても弾劾裁判を受ける前に任期満了となる可能性が高い。
臼井委員長は「任期を延長する規約もないし、不適格の人が再任される見通しもない。間に合わない場合は、任期切れをもって審査を終了せざるを得ない」と話した。
裁判官が訴追され、裁判官弾劾裁判所で罷免判決を受けた場合は、退職金が支払われないうえ、法曹資格も失う。任期満了で退職した場合はこのようにならないが、一木判事は退職金を放棄する意向を示しているという。また、弁護士活動をするためには弁護士会が登録を認めなければならない。

昨日は、心神喪失状態で勾留されっ放しの被告人についてコメントしましたが、再任間際に裁判官がこういった不祥事を起こすケースも、「法の盲点」であることが明らかになりましたね。
犯罪をやりたい裁判官は、再任間際に犯罪を犯せば、任期満了で逃げ切ることができ、退職金ももらえ、法曹資格を失うこともない、ということになります。記事に出る判事が、そのつもりで犯行に及んだとは思いませんが(退職金放棄の意向を示しているということでもあり)、思わぬところに法の盲点があるということを実証することになってしまいました。
ただ、やったこと自体は「罷免相当」ですから、有罪判決を受ければ、一定期間、弁護士登録ができなくなり、また、形式上は弁護士登録が可能になっても、相当の期間、弁護士会が登録を認めないことにはなるでしょう。
とは言え、弾劾裁判で法曹資格を失うはずのところが失わずに済んだ、というのは大きな違いであり、国民感情としては釈然としないものを感じる人も少なくないと思います。

ドラマの監修や小説のアドバイス

TBSドラマ「スマイル」については、引き続き、上がってきた台本を読み気づいた点を指摘し、様々な質問を電話やメールで受けるのでそれに答えて、という状態ですが、法廷シーンが出てくる回があって、今月中に、その撮影に立ち会うことになりそうです。
小説家の方から、某社経由で、検事とか検察庁についての質問も受けていて、それについても、とりあえずメールでお答えしておき、近日中に会ってお話することになっています。
いろいろな物事を抱えていますが、こういった活動も、やってみると自分自身の認識、理解を整理することにもつながり、また、おもしろくもあるので、可能な限りご協力するようにしています。
小説については、今後、形になってきて著者の方の了解が得られれば、本ブログで紹介することもあるかもしれませんん。

闇サイト殺人 2人死刑1人無期 無慈悲かつ残虐 名古屋地裁判決

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090318-00000123-san-soci

被害者が1人の事件で極刑が選択されるかが焦点。近藤裁判長は判決理由で、供述が異なる3被告の強盗殺人罪の共謀を認定したうえで、「3人がそれぞれ楽をして金もうけをしようと行ったもので、動機に酌量の余地がないことは明白」と指弾した。
犯行態様についても「被害者の命ごいに耳を貸すことなく犯行を遂げた。無慈悲かつ残虐であり、戦慄(せんりつ)を覚える」と非難。

犯行の動機や態様の悪質性等が著しければ、殺害被害者が1名であっても死刑判決は十分あり得る、ということを改めて明らかにした判決と言えるでしょう。
有名な永山事件判決は、死刑にすべきかどうかの検討要素の1つとして「被害者の数」を挙げますが、被害者が1名であれば死刑にはできない、などとは一言も言っておらず、永山判決の前も後も、殺害被害者が1名であっても死刑になった事例はあります。ただ、殺害被害者が1名で死刑になる、というのは、それだけ犯情が極めて悪質である事案にはなるでしょう。極刑に処すものと、そこまでは至らないものを、どこで線引きするかということが問題になり、非常に判断が難しいところです(死刑制度を存置することが前提ですが)。
本件が、今後、上訴審で審理される中で、この判決が維持されるか、あるいは見直されるのかわかりませんが、最終的に維持されることになれば、厳罰化の流れの中で、殺害被害者が1名であってもこのような事案であれば死刑になった例、として、今後、参考にされる可能性が高いでしょう。

mixiで“出会い”コミュが大量削除 〜 健全化の一環で古参コミュも消失か

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090318-00000040-rbb-sci

現在の最新版となるmixi利用規約では、「第14条 禁止事項 ユーザは、本サービスの利用にあたり、次に掲げる行為を行ってはならないものとします。禁止事項に違反した場合には、強制退会、利用停止、日記などの情報の全部もしくは一部の削除、または公開範囲の変更などの不利益な措置を採ることがあります。」とあり、「(7)面識のない異性との性交、わいせつな行為、出会いなどを主な目的として利用する行為。」と明記されている。しかしながら、地元のオフ会、成人同士の飲み会などの“出会い”コミュであっても削除されているようで、一部利用者からは不満の声も漏れているようだ。

上記の規約中の「出会い」は、文脈上、「面識のない異性」とのものであり、それが「主な目的」である場合に禁止の対象になりますから、地元のオフ会、成人同士の飲み会といったもので、「面識のない異性との出会いを主な目的としていない」ものは、禁止の対象とは言えないでしょうね。それにもかかわらず、そういったものすら片っ端から削除しているのであれば、利用規約の誤った解釈、適用によるものということになると思います。
そもそも、SNSというものは、本質的に他人との出会い、出会った人との人間関係の構築、継続を目的とするもので、出会いにいちいち目くじらをたてるような運営は、SNSの自殺行為と言っても過言ではないでしょう。警察が目指しているような、人と人とが出会わなければ犯罪も起きない、皆がタコつぼにでも入ったように孤立して生きていれば人と人とが接触しないので犯罪も起きようがない、といった、警察国家的な社会観、インターネット観に、SNS自体がはまってしまえば、それはSNSの自滅につながるでしょう。
最近、さかんに喧伝されている「健全」というものの危険な本質、一面というものをしみじみと考えさせられるものがあります。こういったことを利権化して、警察とも結託しつつ、インターネットを食い物にして金儲けしようとしている人々が確実に世の中にはいる、ということを、心ある人はよく覚えておいたほうが良いでしょう。