えん罪再審、似顔絵など証拠開示を検討

http://www2.knb.ne.jp/news/20070615_11765.htm

これまでの取材で検察側は真犯人とされる男の有罪を立証できれば、男性の無罪が認定されるとして再審では当時の供述調書が作られた経緯や信用性には触れないという方針を示しています。
再審は今月20日に富山地方裁判所高岡支部で初公判が開かれ、弁護団が求めている取調官の証人尋問や証拠の開示が認められるかどうかは裁判所が決定します。 

富山の冤罪事件ですが、無罪であることは明らかですから、その点を明らかにする限度で証拠調べをすればよい、というのが、筋と言えば筋です(上記の検察側の立場です)。
しかし、それでは冤罪が発生したプロセスが明らかにならず、冤罪に泣いた者に対する真の救済にならず、今後の再発防止にもつながらないのではないか、というのが弁護団の立場でしょう。当然、傾聴すべきものがあります。
今後、裁判所が、両者の狭間でどのような訴訟指揮を行うのか、注目されると思います。

年金氏名 自動読み仮名ソフト導入 入力ミス誘発、システム欠陥

http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070617/fks070617000.htm

社保庁は54年になり、氏名をコンピューターにカタカナで入力する方式に変更した。ところが、数字記号化されたデータは読み仮名が分からなかったため「漢字カナ変換辞書」を開発。このソフトによって変換された勝手な読み仮名をそのまま、本人に確認することもせずコンピューターに入力した。
この結果、例えば「島崎藤村」(シマザキトウソン)は「シマサキフジムラ」、「裕子」(ヒロコ)が「ユウコ」、「秀一」(シュウイチ)が「ヒデカズ」に変換されるなど、誤った読み仮名が多数入力された可能性がある。

日本人の氏名の「読み方」について、根本的な誤解があったと言うしかないですね。
検察庁にいると(裁判所も同様ですが)、被疑者、被告人を次々と担当しますが、人の名前の読み方、というものは、本当によくわからないもので、本人に聞いてみて初めてわかる、ということが少なくないものです。例えば、私の名前は「洋司」と書いて「ようじ」と読みますが、「ひろし」とも読め(実際、「ひろし」さんですか、と聞かれることもあります)、これを本人に確認しないまま人やソフトが正しく判断することは不可能でしょう。
過去の、既に記録もなくなってしまった当時のことを証明、再現するということは不可能であり、だからこそ、時効制度というものがあるわけですが、この際、年金受給者側が、支払を「一応、確からしい」という程度まで主張すれば、その点に関する立証責任が国側に転換して、「支払がない」ことを証明できなければ支給対象とする、といった取り扱いにでもしないと、この問題は終息しないのではないかと思います。

警部補、1千万円で女性への贈り物も 枚方の談合事件

http://www.asahi.com/national/update/0617/OSK200706160065.html

警部補が警察官の職務に絡んで1000万円を受領した収賄容疑で18日にも再逮捕する方針をすでに固めている。談合という不正を知りながらわいろを得て捜査を怠ったとする加重収賄罪が適用される可能性もある。

談合のほうの取り扱い(起訴するのかどうか)がよくわかりませんが、この警部補について、談合と収賄を両方とも立ててしまうと、上記の1000万円が、談合の分け前なのか、警察官に対する職務に関する賄賂なのか、趣旨が曖昧になってしまう可能性があるように思います。そもそも、この金の趣旨が何か、ということを考えた場合に、警察官が職務に関して収受した、というよりも、一種のサイドビジネスとして動き、そういったサイドビジネスに対する対価として支払われた色彩が濃い、という見方は十分成り立ちうるでしょう。
警察官としてあるまじき悪質な行為である、ということと、贈収賄罪が成立する、ということは、別の問題ですから、事件の構成や金の趣旨、といったことについては、慎重な検討が必要ではないか、という印象を受けます。