はてな近藤社長「正直反響に驚く」

http://pcweb.mycom.co.jp/articles/2004/12/13/internetweek/

はてな」の近藤さんが語っていますね。

同氏は「(住所等を登録せずに)IDだけで活動できることの意味もわかるし、でも(サービス提供者として)リスクは負いたくないというところで、現在は皮一枚で踏みとどまっている状態」と、さまざまな利害関係者の狭間に立って苦悩する様子を示した。

こういった悩みは、同様の立場の人々が、皆抱えているものです。「業」みたいなものですね。常に頭を働かせ、いろいろな利益に目配りを怠らず、的確な判断を目指すしかないでしょう。

Webサイトの脆弱性の発見・通知の際に気をつけるべきこととは?

http://pcweb.mycom.co.jp/articles/2004/12/13/internetweek/001.html

皆様お馴染みの高木先生です。
サイバー犯罪条約関連の刑法改正案は、どうも、継続審議になるようですが、高木先生ご指摘のような具体例については、成立後に出るはずの立法担当者(法務省)の解説本で、できるだけ言及してもらうのが望ましいでしょう。今年の5月に情報ネットワーク法学会主催で実施したシンポジウムの際にも、東大の山口厚先生が、そういったことを述べられていました。
高木先生ご指摘の不正指令電磁的記録作成等の罪は、改正案では

第 168条の2
1 人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
3  前項の罪の未遂は、罰する。

となっていますが、犯罪の故意(犯罪事実の認識・認容)だけでなく、犯罪成立のためには「人の電子計算機における実行の用に供する目的」も必要とされており(目的犯)、高木先生が懸念されている例の中には、故意の欠如、目的の欠如により犯罪不成立となるものも含まれていると思います。
とはいえ、明確な「線引き」は必要でしょう。

めぐみさん軟禁10年以上、ヘギョンさんと完全別居

http://www.zakzak.co.jp/top/2004_12/t2004121324.html

横田めぐみさんや拉致被害者で、まだ生存している人は、何とか日本に帰還させてあげたいと思います。そのために経済制裁が最も効果的なのであれば、躊躇無く断行すべきでしょう。しかし、経済制裁にこだわるべきではなく、相手の出方を見ながら、効果的な手段を模索すべきだと思います。

虐待受け施設入所の長男を拉致、殺害図る…母親逮捕

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041213i314.htm

容疑者は殺人未遂容疑で逮捕され、今年11月に執行猶予付きの有罪判決を受けていた。

自分の子供を、2度、殺害しようとしたということになりますが、執行猶予が相当であったのか、控訴せずに確定させた(と思われる)検察庁の対応に問題はなかったのか、疑問が生じます。

TBS:石原知事発言で字幕ミス 社員4人を書類送検

http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/tv/news/20041215k0000m040066000c.html

通常の刑事事件は、警察が、犯罪の嫌疑があると判断した上で立件、捜査し、捜査を遂げた上で検察庁に送致(いわゆる「送検」)するので、送検されたということは、それなりの嫌疑があったということを意味します。
しかし、告訴・告発事件の場合は、そうではありません。
捜査機関は、告訴・告発が形式上、整ったものであれば、嫌疑の有無にかかわらず、受理した上、捜査する必要があり、受理した以上、途中で放り出すことはできず、警察であれば検察庁に事件を「送付」することが義務づけられています。
だからこそ、警察は、そういった面倒な義務を背負い込む告訴・告発事件を受けたがらないわけです。
この記事では、

警視庁は、誤報が意図的だったかどうかにかかわらず、結果的に知事の名誉を棄損した疑いがあると判断したとみられる。

とありますが、意図的ではない、ということは、犯罪の故意がない、という可能性が高いでしょう。名誉毀損罪に過失処罰規定はありませんから、故意がなければ無罪です。
たとえ、警察の心証として犯罪不成立と判断しても、上記のとおり、事件の送付が義務づけられていますから、送付イコール犯罪の嫌疑あり、とは言えません。
そういった事情が、きちんと記事にあらわれていることが望ましいでしょう。

法科大学院・非常勤講師の報酬など

某巨大匿名掲示板へのネタ提供、というわけではありませんが(笑)、ちょっと紹介しておきます。
私の場合、担当科目は1科目、週に2コマを担当していましたが、振り込まれた報酬は、一月あたり6万540円でした。給与明細が手元にありませんが、源泉徴収後の金額で、交通費(往復で500円くらい)が加算されているはずです。
大学への往復時間、担当する授業の時間、そのための準備、を考えると、弁護士としては、割りの良い仕事とは到底言えないでしょう。
国選弁護の報酬が安い安いと言っても、1件やれば8万円から9万円はもらえますが、法科大学院の非常勤講師を、上記のように担当すると、1か月に、どう考えても通常の国選弁護1件よりは、はるかに負担がかかります。
お金目当てなら、全然割に合いませんが、主に、事例問題(刑法と刑事訴訟法にまたがるもの)をロースクール生と一緒に検討するスタイルで進めたので、私自身の知識を整理し、確認する上でも良い機会で、勉強になりました。
また、課外で、今年の8月から9月にかけて、池田・前田「刑事訴訟法講義」を読み込む形での勉強会も行ったので、刑事訴訟法についても、最新の基本書を一冊読んで、判例の整理、確認もでき、こちらもかなり勉強になりました。
自分の勉強にもなったので、損したとか、報酬が安くてやっていられない、などといった不満はないですね。そういったプラス面も期待できたので、非常勤講師を引き受けた、と言えると思います。
私の勉強だけでなく、受講していたロースクール生の勉強にもなったのではないかと思いますが、こればかりは、直接聞いていないので、断定はできません。
合格者を増やせなどと、いろいろなところに圧力をかけて回るのも結構ですが、日頃からの地道、着実な勉強が最後にはものを言う、ということを忘れるべきではないでしょう。
法科大学院の設立、運営に関与していない一非常勤講師であっても、特定の科目を担当した経験や、いろいろな情報源から得たいろいろな情報等に基づいて、考え、発言することは、無意味なことではないのかな、などと考えています。