プロバイダの発信者情報開示

sarasaさんにコメントいただいたので(ブログでも取り上げていただいてありがとうございます)、少しコメントを。
現在、発信者情報開示については、①刑事事件で令状がある場合と、②プロバイダ責任制限法の要件を満たす場合については、求められるプロバイダ等としても対応方針が明確ですが、それ以外については、グレーというか、対応についてはっきりした方針が打ち出しにくい、というのが現状だと思います。
法的根拠や法令上の正当化根拠がなければ、応じられないのは当然ですが、「法的根拠がある場合」と言っても、まったくの任意(拒否しても何ら制裁がない)である場合と、拒否すると一定の制裁が課される場合(強制の要素がある)があり、前者についても、制裁はなくても、解釈上、「義務」であるとされている場合もあります。何に応じ何に応じるべきではないか、判断には悩ましいものがあります。
そういう状況の中で、明文の法的根拠がない場合であっても、何らかの対応をすべきではないかと思われるケースが生じることがあり、その典型的なケースが、

http://www.asahi.com/national/update/0828/018.html

ではないかと思います。
昔、刑法の教科書に、ドイツ(ローマ法?)の法格言(?)で、「緊急は法を持たない」という言葉が紹介されていましたが、緊急性がある場合に(このニュースの件で、情報開示がなされていなければ、人が死んでいた可能性が高いでしょう)、慎重な検討の中で、一般的な違法性阻却事由を根拠に開示を行う、という対応も、やむをえない、ということはあると思います(もちろん、濫用は戒められるべきですが)。

被害届避けるマニュアル 厚労省が捜査に非協力指示

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040829-00000016-kyodo-soci

異常な感覚ですね。身内の裏金作りは、甘い処分でお茶を濁して告発もしない、給付金をだましとられた事件では、捜査に協力しない、では、まともな感覚の人は誰も納得しないでしょう。
事務次官収賄罪で実刑判決をうけるような省ですから、上も下も腐っているということじゃないでしょうか。

http://esbooks.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31035303

1億円小切手「橋本元首相から受領」会計責任者が供述

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040829-00000201-yom-soci

関係者によると、会計責任者の供述は、東京・永田町のビルにある派閥事務所で翌3日、元首相から「ほら」などと言われ、封筒を差し出されたというもの。中には額面1億円の小切手が入っており、封筒には日歯側からだと分かる記載があったという

「ほら」というのが、いかにも無造作な感じで、自分で汗して働いて得たものではない金を右から左へ流しているんだな、ということが実感されます。

<1億円献金問題>旧橋本派の会計責任者を逮捕、家宅捜索

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040829-00000015-mai-soci

特捜部の狙いは、橋本元首相なのでしょう。
真相は解明してもらいたいと思いますが、こういう事件では、自殺者(強い立場の政治家ではなく、弱い立場の、今回の会計責任者のような人)が出ることが少なくないので、十分配慮して取り調べ等をやってもらいたいと思います。

裏金追及の市川弁護士ら2人、道警側が懲戒請求 「品位欠ける」

http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20040829&j=0022&k=200408293096

お互い、熱くなっているんだと思いますが、法律家ですから、相互に冷静になったほうがいいでしょうね。

斎藤弁護士側はまた、懲戒請求の中で、法廷での裁判官の発言に言及。「(裁判官は)能力がないか、報道に流されたかのどちらかだ」としている。

裁判官の訴追請求をしているわけではないので、これは余計だと思いますし、注意しないと、こういう発言が、裁判官に対する名誉毀損等にあたるおそれもあり、自分自身に対する懲戒事由になるおそれもあります。

弁護士争奪 スカウト火花 司法改革にらみハント会社続々

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20040829/mng_____sya_____006.shtml

私には無縁な別世界の話、という感じですが、こういう動きにもなっている、ということですね。
私の関心は、主として刑事司法ですが、ほとんどの場合、お金にならない分野(特捜部がやっている下記の事件のような例外を除き)なので、こういうことは起きません。むしろ、限られたリソースで、今後の裁判員制度導入等の大きな動きの中で、いかに回して行くか、というところでしょう。

「月刊ローヤーズ」

事務所へ、「贈呈」で送られてきていたので、ぱらぱらと読みましたが、はっきり言って、つまならない雑誌でした。お金を出して読むようなものじゃないですね。他の弁護士の自慢話を、お金出して読む弁護士というのは、ほとんどいないと思いますし、法律関係の情報も、もっとレベルを上げないと、読むに耐えないです。今後は、法曹人口も増え、この種の雑誌も増えてゆくと思いますが、駄目な雑誌はあっという間に消えてゆくでしょう。ということで、この雑誌はゴミ箱行きです。

地方自治体の職員互助会に補助金194億円

http://www.asahi.com/politics/update/0829/002.html

一方、互助では、永年勤続者への旅行券の贈呈や、職場のレクリエーションなどへの助成が行われている。いずれも自治体が条例を定め、負担の割合を決めている。「互助会」「互助組合」の名称で財団法人にしている例が多く、ほとんどが決算や事業報告を一般公開していない。

他人のお金で飲み食いするという習慣は、良くないでしょう。遊ぶなら、身銭を切って遊ばないと。お金がないなら、ないなりに、楽しみは見出せるはずです。

批判派『プライバシー侵害ソフト』擁護派『次世代のネットシステム』ウィニー論争さらに過熱

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040829/mng_____tokuho__000.shtml

ますます、9月1日の第1回公判が注目されます。

否定派の論陣には異色の人物も登場している。ウィニー関連の話題を扱うウェブログ(ホームページの一種)に書き込みをしていた人物だが、ハイテク犯罪に精通し“ハッカー検事”といわれる現職検事だと指摘されている。
 壇弁護士が開設したウェブログでも金子被告を批判。別のウェブログでは「ハイテク犯罪の有罪率はほぼ百パーセントなので勝ち目がない」「弁護方針としては全面降伏執行猶予狙いも一考です」などと書き込んだため、「本当に検事だとすればどういう意図なのか」と問題視する声も上がった。

本当に検事だったんでしょうか?

壇弁護士のコメント

下記のニュースで

弁護士十数人でつくる「Winny弁護団」事務局長の壇俊光弁護士は「法定速度以上で走ることができる自動車を作り、運転者が速度違反で逮捕されても、自動車メーカーの技術者は逮捕されない。金子被告は違法なファイルをやりとりしないように求める説明書をウィニーに添付しており、利用者が悪用したにすぎない。結局は利用者のモラルと著作権侵害をしやすいウィニーの周辺環境の問題だ」と訴える。

というコメントが出ていますが、そういった考え方を、刑法理論の上にうまく乗せて、どこまで説得的に展開できるかが問題です。そこが弁護団の正念場とも言えるでしょう。裁判所に、今後の審理の展開によっては無罪もありうる、という心証を、公判の初期にとってもらえるかどうかが、今後の行方を左右すると思います。壇弁護士のブログに出ている顔写真が、開戦劈頭の真珠湾奇襲に賭けた山本五十六と重なってきました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E4%BA%94%E5%8D%81%E5%85%AD
http://danblog.cocolog-nifty.com/

なんとなく似ているような?