「早さ」と「徹底」が対策の鍵だった、スペインかぜの事例【感染症、歴史の教訓】

「早さ」と「徹底」が対策の鍵だった、スペインかぜの事例【感染症、歴史の教訓】(ナショナル ジオグラフィック日本版) - Yahoo!ニュース

とはいえ、最も成果を上げたのはやはり思い切った、かつ徹底的な対策だ。集会を固く禁じ、厳しく取り締まったセントルイス、サンフランシスコ、ミルウォーキーカンザスシティーでは、結果的に感染率が30から50パーセントも低下した。また、最初に強制隔離と時差出勤を実施したニューヨーク市では、死亡率が東海岸で最も低かった。  

2007年、学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に、市によって異なる対応が病気の蔓延にどのように影響したかを調べた2つの論文が発表されている。それによれば、致死率、時期、公衆衛生的介入について比較したところ、早い段階で予防措置を講じた市では、対策が遅れた、あるいはまったく講じられなかった市と比べて、死亡率が約50パーセントも低いことがわかった。

なかでも最も効果的だった措置は、学校、教会、劇場を同時に閉鎖し、集会を禁止することだった。そうすることでワクチンを開発する時間を稼ぎ、医療機関にかかる負担は減っていた。  

論文はまた、別の重要な結論も導き出している。介入を緩和する時期が早すぎると、状況が逆戻りするということだ。  例えばセントルイス市では、死亡率の低下を受けて大胆にも集会の制限を解除した結果、2カ月もたたないうちに集団発生が始まり、新たな症例が相次いだ。介入を継続した市は、セントルイス市などで見られたような2回目の死亡率のピークが見られなかった。

 スペイン風邪は、全世界を席巻した、未曾有の感染症であり、その教訓は、現在の新型コロナウイルス対策にも活用することができ、また活用すべきでしょう。

上記の記事で、特に印象に残ったのは、引用したような、思い切った徹底的な対策、介入を緩和する時期を早め過ぎないことの重要性で、辛い選択ではありますが、現在の日本でも参考になるものがあると思います。

自由、人権も重要ですが、感染症が蔓延し社会が崩壊してしまえば、自由、人権を享受できる基盤自体が失われることになります。平和ボケした頭で安易な、不徹底な措置のまま新型コロナウイルスを漫然と蔓延させるのではなく、徹底した対策を講じることこそが、今、求められていることを痛感します。