「安倍三代」

 

 

安倍三代

安倍三代

 

 出てから3年余り経ちますが、買って読めずにいたところ、安倍政権は終わってしまいました。終わった後でしたが、最近、通読しました。

安倍前首相の祖父である安倍寛氏は、戦前の衆議院の翼賛選挙の際に非推薦で当選したこともある、気骨のある人物であることは報道などで知っていたのですが、本書で紹介されている同氏の生涯は、地域の人々に信頼されつつ病身を省みず公益のために粉骨砕身する、実に立派なものだと感じました。また、その子であり安倍前首相の父である安倍晋太郎氏も、戦中の出征経験や戦後の記者経験を踏まえつつ、絶妙なバランス感覚で大政治家へと上り詰めたもので、首相の地位を前にしての早すぎる逝去が惜しまれると感じました。

そのような祖父、父に対して安倍首相は(発刊当時)、というのが著者の問題意識なのですが、私は、時代が人を生むものであり単純な比較はあまり意味がないように思いましたし、安倍首相、安倍政権を生んだ時代背景、国民の考え方の変遷に目を向けるべきであるように感じました。

かなりの関係者にインタビューしたことがうかがわれ、世襲政治家というものを考えるでも貴重な労作だと思います。