9条首相案、染まる自民 2項維持案、優勢 違憲論争続く懸念

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180301-00000001-asahik-soci

戦力の不保持と交戦権の否認を定めた憲法9条2項。これを残すべきか削るべきか、28日の自民党憲法改正推進本部の全体会合でまず声を上げたのは「削除派」だ。
「2項を削除して、自衛隊を保持する根拠規定を明記する方が、むしろ国民の支持を得られる。確信している」

憲法9条は、

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

と定めますが、1項の「国際紛争を解決する手段としての国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使の永久放棄」と2項の「戦力不保持・交戦権否認」は表裏一体のものと言えるでしょう。それは、2項の冒頭で、「前項の目的を達するため」とされているところにも現れていると思います。
そういう大前提の下で、「自衛のための必要最小限度の実力(国際紛争を解決する手段としてではなく)」の保持を、憲法は禁じていないというのが、従来からの確立した政府見解でした。そういう構造の中で2項を削除してしまえば、「国際紛争を解決する手段としての国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使」を禁じる1項が、それを行える戦力を保持できるようになることで空文化し、日本が再びフルスペックで戦争できる国になってしまいかねないでしょう。2項を削除することには、そういう大きな危険性があり、国民の過半数の支持が得られるとは到底考えにくいものがあります。自民党内で、2項維持案が優勢になりつつあるのは、そういった現実的な判断に基づくものと推測されます。