東名 進路妨害で夫婦死亡 刑重い危険運転致死傷罪で男起訴

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171031/k10011205431000.html

被告は事故の前、パーキングエリアで萩山さんに駐車方法について抗議され、その後、ワゴン車を追いかけて前に割り込んだり極端に接近したりしたあと、車を止めてワゴン車を停止させ、およそ3分後に追突事故が起きていました。

私も、このケースで危険運転致死傷罪まで問うのは難しいのではないかと見ていたのですが、なかなか思い切って起訴したという印象を受けます。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)中、本件で適用が問題になるのは、

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
(略)
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
(略)

ですが、「よって」というのは、相当因果関係にある、ということを意味するものです。通常は、危険運転行為から直接的に結果が発生するものですが、本件の場合、

危険運転行為により高速道路上で極めて危険な位置に停車することを強いられた
・その結果として、後続車に追突されて死傷の結果が発生した

という流れにあり、やや間接的ながら、危険運転行為が作出した危険性が顕在化したが故の、相当因果関係のある死傷、という捉え方ができると、横浜地検は判断したのでしょう。
ただ、本来、危険運転致死傷罪が想定する因果の流れとはやや異質なものはあります。今後の公判では、危険運転行為と結果との間に因果関係はない、同罪が適用されるべきではないという主張が、被告人、弁護人側から出る可能性は高いでしょう。
裁判員裁判によることになり、裁判所、裁判員の判断が注目されることになると思いますし、有罪になって確定すれば、今後の実務への影響も出てくると思います。