漫画の海賊版HPに誘導、サイト運営者ら逮捕へ

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171031-00050010-yom-soci

ネットには、漫画などの海賊版を無料公開しているサイトがあり、リーチサイトは、そこへつながるリンク(ネット上の住所)を掲載している。検索では見つけにくい海賊版を探すことができるうえ、利用者は、望みの海賊版があるリンクをクリックするだけで公開先に接続し、入手できる。

この種の行為が公衆送信権の侵害になるかどうかは、議論が分かれるところで、民事上は否定的な考え方が強いのが現状でしょう。
ただ、刑事面では、例えば児童ポルノ法に関する最高裁平24年7月9日判決

http://kanz.jp/hanrei/data/html/201207/082565_hanrei.html

が、児童ポルノのURLをホームページ上に明らかにした行為を同法の「公然と陳列した」に該当するとした原判決につき是認している(反対意見あり)など、おそらく法益侵害という点に着目して、この種行為を違法とする根強い考え方があります。
例えば、深町晋也教授は、上記最高裁判決の評釈で、

http://ci.nii.ac.jp/naid/120005437181

例えば,上述のようなわいせつ画像を集めた「まとめサイト」のようなものを開設した場合には,不特定又は多数の者が認識可能な状態を質的に高めたと評価することが可能であり,なお,新たな認識可能性を設定したものと認めても差し支えないと思われる。

と述べています。既に広く認識可能になっている著作権侵害コンテンツについて単にリンクしたのではなく、上記の記事にあるような「検索では見つけにくい海賊版を探すことができる」リーチサイトは、不特定又は多数の者が認識可能な状態を質的に高めたと評価できる点で公衆送信権の侵害があると評価される余地があるでしょう。
公然陳列と公衆送信権の侵害で、行為態様は同一ではありませんが、違法性を基礎づける考え方の点では公然陳列に関する判例やそれを支持す学説を踏まえつつ、上記の記事の事件でも立件へと向かっているのではないかと考えられます。
今後の事件の展開を注視する必要があると思います。