覚醒剤使用で起訴の被告に無罪 大阪地裁

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201208310049.html

長井秀典裁判長は「(自らの意思でなく)知人男性に覚醒剤を注射されたと認められる」と述べ、無罪(求刑懲役3年6カ月)を言い渡した。
被告は公判で「男性宅で覚醒剤をうたれた。抵抗したが、しつこく求められて何をされるか分からないと思った」などと主張。判決は、被告が自ら救急車を呼び、搬送先の病院で覚醒剤をうたれたと申告した▽自ら警察に出頭した――などから、被告の主張は信用できると判断。「自らの意思で覚醒剤を注射した」とする検察側主張を退けた。

覚せい剤を使用したうえでのセックスには、かなりの快感が伴うものらしく(使ったことがないので実体験としてはよくわかりませんが)、特に男性側が、そういった快感を得ようと、嫌がる女性に無理やり覚せい剤を注射などする、というケースが時々出てきます。覚せい剤使用罪は、自己の意思による使用が前提で、嫌がるのに無理やり注射された、というのは「使用」にはあたりません。そういった供述、弁解が出た場合には、抑え込むのではなく、慎重に捜査して、合理的な疑いがあれば無理やり注射などされた可能性がある側は起訴しない、というのが、スタンダードな基準のはずですが、そういう捜査、起訴時の決裁になっていたのか、強い疑問を感じます。特に、上記の記事にあるような「被告が自ら救急車を呼び、搬送先の病院で覚醒剤をうたれたと申告した」といった外形事実は調べれば容易にわかることで、起訴にかなり無理があったのではないか、主任検察官だけでなく決裁官の能力にもかなり問題があったのではないか、という印象を強く受けます。
捜査も決裁も、かなり劣化してきている、ということでしょうか。