ネット犯罪誤認逮捕の危険性

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/1009.html

逮捕された大阪の男性は、弁護士に対し「事件とは関係ないと何度も否認したが、警察と検察は犯人と決めつけて聞く耳を持たず、精神的にも肉体的にもつらかった」と心境を話していたということです。

ウイルス対策会社によりますと、今回のような第三者が遠隔操作して書き込みができるようにするタイプのウイルスはここ数年増え続けており、年間で少なくとも数万種類見つかっています。

こうしたウイルスは通常はパソコンを解析すれば感染の有無が分かりますが、中には感染した痕跡を消し去るタイプもあり、警察によりますと今回感染したウイルスも書き込みのあと、遠隔操作で削除されていたということです。

この問題について、わかりやすく解説された記事ですね。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20121008#1349686799

での、私のコメントも再掲されています。
年間で新種のウイルスが「少なくとも」数万種類見つかって、中には遠隔操作で削除されるものもある以上、特に、被疑者が強く否認しているような場合は、その可能性を念頭に置き慎重に捜査を進める必要があり、「犯人と決めつけて聞く耳を持たない」というのは、最悪、最低の捜査でしょう。人を見て物を言え、と言われますが、事件を見て物を言う、臨機応変に検討すべきポイントを見出して検討する、ということをやらないと、この種の事件でも、誤った事件処理により冤罪を生んでしまいます。大阪の事件では、実名での書き込み(犯罪性の高い書き込みであるにもかかわらず)であったとのことで、本人が、特定されることが容易に推測できるのに、自分のPCを使い実名まで入れて書き込みを行う、という不自然、不合理さなど、疑問をもつべき兆候はあったのではないかと思われます。
言い古されてきたことではありますが、ログの捜査でPCにまで到達できても、その先の詰めを慎重に行わなければならない、ということを捜査機関は肝に銘じる必要があると思います。