http://www.asahi.com/national/update/1228/TKY201112280771.html
昨年7月、死刑廃止派ながら執行に踏み切った千葉景子元法相は省内に勉強会を設置した。その後の法相は次々と交代。柳田稔氏は2カ月で昨年11月に辞任し、今年の年初は官房長官と兼務の仙谷由人氏だった。廃止派の江田五月氏が1月に就き、9月に代わった平岡法相になっても執行は途絶えている。
刑事訴訟法が、刑罰の執行権限中、唯一、死刑については法務大臣の指揮に委ねているのは、人の生命を絶つという、他の刑罰にはない究極の重大性にかんがみ、確定裁判では見出し得なかった誤りの可能性を含め、最終的に、法務大臣による全人格的判断に、執行の可否をかからしめていると見るべきでしょう。その意味で、死刑の執行についても検察官(検事総長)の指揮によるよう法改正すべきという考え方に、私は賛成できません。
ただ、三権中、司法権により下された判断が、行政権により執行されない状態が続くというのは、法治国家として正常な状態とは言い難く、このまま事態を推移させるのではなく、必要な議論は政治が主導してでも進めるべきでしょう。そのために、年限を決めて死刑の執行を停止する法律を作り、その間、積極的に議論を進めるということも考えられるべきではないかと思います。