双子を取り違えてセックス・・・強姦罪の適用めぐり控訴審へ

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2705922/5445207

カナダで起きた事件です。

被害者の女性は、たまに性行為に及ぶこともあるボーイフレンドの家を訪れ、ちょうど数人が集まって行われていたパーティーでワインを飲んだ後、眠くなったためボーイフレンドの寝室で横になった。
しばらくしてボーイフレンドの双子の兄弟(被告)が、やはり眠くなったため寝室に入ってきて、同じベッドに滑り込んできて、2人は性行為に及んだ。その間、パーティーは続いていた。

女性の主張によると、セックスが終わって部屋の電気をつけて初めて、相手がボーイフレンドではないことに気づいたという。女性はボーイフレンドの家を逃げ出し、公園のベンチで泣き崩れた。セックスをしかけてきたのは被告の方で、しかも行為中に何度もボーイフレンドの名を呼んだという。
第一審で検察側は、「(勘違いを利用した)無謀で結果を省みない無責任な行為」として被告の有罪を主張、判事はこれを認め、被告に禁固6月の判決を下した。
一方、男の方は、女性の方から誘ってきたと主張している。弁護側は、双子は一卵性だが体型は異なり、片方はもう一方よりかなりやせていること、顔にもはっきりと区別できる点があることから、女性が相手を勘違いするはずがないと指摘。「相手が誰かを承知したうえで行為に及んだ」としている。
この点について女性は、「暗かったのでわからなかった」と否定している。

なかなかの難事件ですが、日本で起きたとすれば、

(準強制わいせつ及び準強姦)
第178条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。

の、2項に言う「抗拒不能に乗じ」た姦淫かどうかが問題になることでしょう。
今、刑事弁護経験交流会参加のため高知に来ていて、手元に資料がないので精査できませんが、典型的な「抗拒不能に乗じる」事例とは異なり、犯罪の成立を認定できるかどうかは微妙な事例(行為者側の故意の問題を含め)という気がします。帰京したら、資料にも当たって調べてみたいと思っています。

追記:

判例では、被害者の女子が、深夜、暗さや眠気などの事情によって犯人を自分の夫と誤信している状態を利用してこれを姦淫した場合につき抗拒不能に乗じたものとしているものがあり、上記の記事にあるようなケースで故意も認められれば、実務上は犯罪成立が認定されそうです。