http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009062300707
地検と神奈川県警は、少年が信号を無視した可能性が強いとみて危険運転致死傷の適用も視野に捜査していたが、「交差点に入る直前は黄信号だった」などと少年が話していることから、同罪の要件である「赤信号をことさらに無視」したと認定するのは困難と判断した。
危険運転致死傷罪について、刑法で、
(危険運転致死傷)
第208条の2
1 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
2 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。
と定められている中で、本件で特に問題になるのは、2項の「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、」という要件ですが、「これに相当する信号」とは、警察官の手信号または灯火による信号を指す、とされていて、横浜地検としては、黄色信号での交差点侵入という弁解を覆せない本件では、同罪の適用困難という結論になったようですね。
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20081019#1224345441
でコメントした最近の最高裁判例で、上記の要件を満たすとされた「信号表示を意に介さず、赤でも無視しようとの意思」も、本件では認め難いということと思われます。
危険運転致死傷罪は、元々、構成要件のハードルが高くなっていますが、そういったハードルの高さが現れた、ということは言えそうです。