http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008122202000087.html
県警によると、偽造された判決文は、馬場姓の男が財産を残した人に対し、債権があることを認める内容だった。馬場姓の男は別の裁判所に、この判決文を添えて遺産の差し押さえを請求。差し押さえが許可された直後に、多額の資金が馬場姓名義の口座に移されていた。
容疑者が裁判所の通常業務を行う中で、多額の財産を残した人の情報を入手した可能性もある
今のところ、犯罪組織との連携は確認されていないようですが、これだけの悪事が働ける人間であれば、犯罪組織とも容易に連携できることは確実で、かなり怖いものがあります。
書記官という存在は、一般の人にはあまり知られていませんが、裁判制度を維持する上ではかなり重要な役割を果たしていて、種々の保秘を要する情報、重要な記録にアクセスでき、かつ、重要な書類を自ら作成するので、この事件のような「自作自演」型の犯罪を犯し始めると、いろいろな悪事が簡単にできてしまうという、一種の「無敵の犯罪者」のような存在になってしまいます。今回の一連の事件もたまたま発覚したようですが、発覚しなければ潜在化したまま長く続いた可能性が高いでしょう。
再発防止策は、裁判員制度すら普及させる見込みがない最高裁が考えるべきことで、しがない弁護士が考えるべきことではありませんが、例えば、判決書の偽造防止のためには、事件情報をデジタル化、データベース(最高裁が一元管理)化して、必要に応じ照合を義務付けるなど、かなり抜本的な改革が必要ではないかと思います。
本当に、この書記官のみによる特異な犯罪なのか、他に同種事件が起きていないのか、全国の裁判所で徹底した調査も必要でしょう。