http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20080126b
本件は、自己中心的で攻撃的な性格傾向の被告が、実子の彩香ちゃんに対し根深い嫌悪感を抱き続けた中で、自分の性格に起因する人間関係の破たんなどから募らせた不満を振り向け、彩香ちゃんへのいらだちや嫌悪の念を極限まで募らせて殺害。隠ぺい工作のため、自分が殺害していないかのように装い警察やマスコミ、住民などに事件性を訴えたが、周囲は期待した通りの好意的な対応をしなかった。八つ当たり的な怒りや憎悪を募らせた上、自分に捜査が及ぶのではないかとの危ぐ感も持ったため、社会に小児殺人の脅威を与えて復讐(ふくしゅう)心を満たし、彩香ちゃん殺害の疑いをそらそうと考え豪憲君を殺害、遺体を遺棄した。
動機が解明しきれていないな、というのが、論告要旨を読んで受けた第一印象でした。この種の事件では、動機の解明ということが、捜査の上で常に重視されますが、従来の常識では計り知れない特異重大事件が出現し、信用性のある自白もなかなか獲得しがたいなど、動機の解明が困難な事件は今後もさらに増えそうな気がします。
特に、豪憲君殺害については、犯行に及ぶことにより、「社会に小児殺人の脅威を与えて復讐心を満たし」という点が何ともわかりにくく、「彩香ちゃん殺害の疑いをそらそうと考え」という点も現実的とは到底思えず、裁判所は、動機の認定にかなり苦慮するものと思われます。
こういった事情は、死刑求刑に対し、裁判所が求刑通りの判決を宣告するかどうかを決する上でも大きく影響する可能性が高いでしょう。