拳銃発射・所持に厳罰 銃刀法改正案 暴力団抑止狙う 懲役+罰金最高3000万円

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007101602056764.html

改正案では、複数の拳銃を持っていた際に適用される「複数所持」(一年以上十五年以下の懲役)の罪を創設。その上で、現行の「所持」(一年以上十年以下の懲役)や「発射」(無期または三年以上の懲役)などの罪に、組織犯罪処罰法と同様の「組織的・不正権益目的」という加重類型の四罪を新設する。
同じ「発射」でも、暴力団による組織的犯行や用心棒代などの不正利益の確保のためと判断されれば、現行より重い「無期または五年以上の懲役」に加え、三千万円以下の罰金を科すことができる。二丁以上の「複数所持」の場合には、「一年以上二十年以下の懲役」に七百万円以下の罰金を加えることができる。
さらに、拳銃の「輸入」や「譲り渡し」の行為が営利目的の場合、懲役に併科する罰金の上限を引き上げる。猟銃などの許可を受けた銃器については、許可条件下以外で発射した場合の刑罰をより厳しくする。

かなりの厳罰化で、狙いは暴力団犯罪対策のようですが、暴力団関係者がが銃器犯罪を犯す場合、大別して、

1 犯罪ビジネスの一環として行う場合
2 組織の面子を守るためなど、ビジネス抜きで行う場合

があって、厳罰化したり、罰金を高額化しても、上記の2のタイプの犯罪を抑止する効果はあまり期待できないでしょう。江戸時代に、「かぶき者」という、下級武士によく見られた無頼派集団があり、

江戸時代を「探検」する

江戸時代を「探検」する

の中の

忠臣蔵と「かぶき者」−武士の生き方

によると、

かれらは、仲間との連帯を重視し、ことさらに勇気を誇示し、いかなる秩序にも従わず、意地を大切にし、みずからの「侍道」のためには命に露ほどの重きもおかない。
(22ページ)

とされていて、著者の山本氏は、赤穂浪士による討ち入りも、このようなかぶき者的な気質を基盤として起きたものであると指摘していて興味深いものがありますが、私の印象としては、このようなかぶき者的気質が、紆余曲折を経て、現在の暴力団に受け継がれているように思います。それが、時々起きる、上記2のようなタイプの犯罪へとつながってきているのではないか、というのが私の見方です。
また、上記1のようなタイプの犯罪は、以前にも本ブログで指摘したように、外国人を利用し犯行後は速やかに国外に逃走させるなど、アウトソーシングすることにより、自らの手を汚さず、発覚しないように事を運ぶ、ということも可能です。
厳罰化により、この種の犯罪が簡単に抑止されるものではないことは明らかでしょう。きめ細かい暴力団犯罪対策、銃器犯罪対策というものを進めて行く必要性を、改めて取締当局は認識する必要があると思います。