戦艦大和―生還者たちの証言から

戦艦大和―生還者たちの証言から (岩波新書)

戦艦大和―生還者たちの証言から (岩波新書)

昨日、成田空港からアジアの某国へ向かう航空機の中で読みました。
戦艦大和の数少ない生存者からの聞き取りを基に、戦艦大和の誕生から終焉までをたどったもので、新書ということもあってコンパクトにまとまっており、また、文章も至って読みやすく、生存者からの貴重な証言が収録されていることもあって、戦艦大和関連の書籍としては見るべきものがあると思いました。
戦艦大和による沖縄特攻作戦については、以前、本ブログでも

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20051218#1134835250

と述べたことがありますが、海上自衛隊の藤田幸生・元幕僚長が、作戦としてはやるべきではなかった、ということを認めた上で、

しかし人間はときに、理性だけで行動するわけではない。当時だったら、私も大和に乗っていたと思う
(136ページ)

と述べているのが、強く印象に残りました。
また、レイテ沖海戦における、栗田艦隊の「謎の反転」問題について、以前、本ブログで、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050825#1124897392

と、栗田提督の作戦指導に批判的なコメントをしたことがありますが、作戦に参加していた戦艦大和の生存乗組員では、

「あのまま突っ込んでいたら全滅していた。引き返したのは正解だった」という意見が大半だ。
(53ページ)

とのことで、私自身の見方は変わりませんが、この問題を考える上で参考になる意見ではないか、という気もしました。