最高検が全国検察指導 「自白だけに頼らずに」

http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070313/mng_____sya_____002.shtml

通知は「基本に忠実な検察権の行使について」と題し、最高検の笠間治雄刑事部長名で2月9日に出された。
まず「無辜(むこ、罪のないこと)の者を早期に刑事手続きから解放することも、検察官の重要な使命」と指摘。
自白などの供述証拠は「変遷しがちで信用性の検討を要する」とし「消極証拠(容疑者側に有利な証拠)を含む全体を十分吟味し、特に犯人か否かにつき、あらゆる角度から綿密、冷静な検討を遂げて事件の適正な処理に努めることが肝要」としている。
その上で、各次席検事に部下の検事らへの指導や研修を求めている。

言うは易く、行うは難し、ということでしょうね。肝心なのは、総論よりもむしろ「各論」であり、具体的な事件の中で、いかに上記のような内容を実践するか、実践できるか、ということでしょう。指導、研修も、単に「自白だけに依存してはいけない」などと、口で言うだけではなく、例えば、決裁の際に、自白以外の裏付け証拠がどの程度あるかを意識的に問題にする、といったことを、しつこいくらいやるべきだと思います。また、無罪事件等について、研究会を行ったり、その結果を資料化して配布し、必要に応じ読めるようにする、といったことも効果的でしょう。
適切な検察権の行使が行われることは、無辜の不処罰のためにも重要なことであり、無罪事件を今後に生かしてほしいと思います。

追記:

最近、自白が諸悪の根源のように言われている面がありますが、真相を解明し適正な科刑を得るための、自白の重要性というものは、日本の刑事司法制度が劇的に変わらない限り、今後も低下することはないでしょう。要は、適正な手段・方法により信用性が高い自白を得るということであり、それだけにとどまらず、他の証拠にも目を向け、自白に過度に依存しない、ということではないかと思います。自白以外の証拠にも目を向け、自白を慎重にチェックすることが、過誤を防止し、より真相に迫る自白の確保にもつながります。
自白以外の証拠による立証は重要ですが、自白がない立証には、どうしても限界があり、良質な自白というものは、真相を解明する上で、やはり、ほしい、というのが、捜査官の率直な認識でしょう。