「新株」差し止め仮処分、ライブドアの申請認める


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050311-00000011-yom-soci

この種の事件で、担保金5億円というのは、安い、という印象ですね。こういったところに、裁判所の「心証」が出ているような気がします。

決定はまず、「新株予約権発行が現経営陣の支配権維持を主要な目的としている場合は、発行を正当化する特段の事情がなければ、商法の不公正発行にあたり違法」との判断基準を提示。今回の発行が、現経営陣による支配権の維持を目的としていると認定したうえで、「発行を正当化するには、ライブドアによる支配が企業価値を著しく棄損することが明らかでなければならない」と指摘した。

この点については、今回の決定の前に、いろいろな議論が飛び交っていましたが、なかなかバランスの良い規範定立と思います。

さらに決定は、ライブドアによる支配がニッポン放送企業価値を低下させるかどうかを検討。ニッポン放送側が主張する売り上げの低下や従業員の流出は、いずれも「明らかではない」と退ける一方、ライブドア側の事業計画については、「インターネット事業との間で相乗効果が期待できないことはない」などと、一定の合理性を認定した。

 そのうえで決定は、「企業価値の著しい棄損が明らかであるとは言えず、新株予約権発行は正当化できない」と結論付けた。

ニッポン法放送の主張は、一種の抽象論、漠然とした可能性に過ぎない、ということでしょう。ライブドア側の計画も、今ひとつ具体的とも言い難いものがあると思いますが、規範定立部分の、「ライブドアによる支配が企業価値を著しく棄損することが明らか」かどうかが問題なっているので、「明らか」であると立証できない以上、ライブドアに軍配が上がるという構造になっています。

一方、ニッポン放送は、発行を正当化する事情として、「ライブドア時間外取引で大量の株を取得したことは違法」と主張していたが、決定は「証券取引法違反とは言えない」と退けた。

 「放送の公共性が害される」としたニッポン放送の主張についても、決定は「(ライブドアの)堀江貴文社長の発言の片言隻句をとらえたに過ぎない。公共性が失われるとは認められない」と述べた。

麻生総務大臣も違法ではないと明言していましたし、違法かどうか、という点でいうと、こういった結論になるということでしょう。
公共性についての判断も、常識的なものだと思います。

あくまで報道を見た限り、ですが、裁判所の判断には説得力を感じ、これを、ニッポン放送側が覆して行くことは相当困難という印象を受けます。