NHKスペシャル (1) 「司法大改革・あなたは人を裁けますか」


今夜の番組を、先ほどまで見ていました。ドラマ形式でしたが、なかなかよく練られたストーリーだと思いました。
ホームレスによる、一方的な傷害致死事件かと思われたものが、裁判員の機転や努力で、被告人が重い口を開いたことで、意外な事実が明らかになる・・・という内容でしたが、番組では、量刑(実刑か執行猶予か)が焦点になっていました。
私が裁判員であれば(弁護人ではなく)どう判断したか、と思いながら見ていましたが、有罪認定であれば、おそらく実刑という意見を述べたのではないかと思いました。被害者の生命が失われたこと、その原因が被告人の行為にあったことには重みがあり、また、被害者にも、金属バットを持って現れ、被告人を自宅へ帰すためとはいえ段ボールハウスを壊そうとする、といった若干の落ち度はあったとしても、ホームレス生活を送り、そもそもの原因を作っていたのは被告人であって、遺族の処罰感情に反してまで、敢えて執行猶予を付けるのは寛大に過ぎると感じました。
事実認定については、傷害致死罪が成立するということで、特に異論が出ていませんでしたし、過剰防衛の問題も、あっさりと扱われていましたが、もみあっている中で被害者が倒れ頭部付近を打って死亡した、ということになると、被告人の「暴行」に基づくと言えるかどうかが問題にはなり得ますし(ドラマで再現された犯行状況を見る限り傷害致死罪の成立自体は肯定できるかな、と思いましたが)、段ボールハウスの損壊を防止するために制止しようとしていた、という状況は、過剰防衛だけでなく正当防衛の成立もあり得るものと思いました(犯行再現状況を見ながら、私が弁護人であれば、正当防衛を強く主張したいところだと思いました)。
なかなか興味深く、見応えがある番組であったことは間違いありません。