例え話

例えば、「犯罪抑止のためには、死刑制度の存置はやむをえない」という前提を承認したとしても、特定の事件の特定の被告人について、死刑判決が妥当か、やむをえないかについては、その事件、その被告人に着目して検討しないと、正しい結論は導き出せません。
この場合、前提から直ちに結論を導くためには、「裁判所の下した判断は絶対的であり批判は許されない」とか、「国民の代表者が賛成して成立した法律に基づく判断である以上、間違っているはずがない」といったことでも承認しない限り無理ですが、乱暴な話になってしまいます。
抽象論で解決できる問題もありますが、相当数の問題は、抽象論だけでは片づかず、抽象論をできるだけ具体化し、具体的な案件にあてはめつつ検討しないと正しい結論は出ないということを、改めて指摘しておきたいと思います。