ウイニー幇助公判について(解説・その2)

第1回公判では、弁護人、検察官双方が、「釈明を求める」という場面が多かったので、その点について、若干、解説を。
刑事訴訟規則では

第208条(釈明等)
1 裁判長は、必要と認めるときは、訴訟関係人に対し、釈明を求め、又は立証を促すことができる。
2 陪席の裁判官は、裁判長に告げて、前項に規定する処置をすることができる。
3 訴訟関係人は、裁判長に対し、釈明のための発問を求めることができる。

となっています。
条文記載の通り、釈明権というのは、「裁判長」か「陪席裁判官」(以下、「裁判所」と言います)が権限としてできることで、当事者は「釈明のための発問を求める」(求釈明申立)ができるだけです。釈明するかしないかは、裁判所が決めるということになります。
したがって、当事者が、相手方に対して、直接問いかけたり、問いかけられたほうが直接答えることはできないわけで、あくまでも、「裁判所を通して」行う、というものです。
裁判所によっては、「不要な釈明はしない」という方針で、釈明を求める当事者との間で、もめる場合もありますが、先日の裁判長は、その辺が老獪で、まず、相手方(弁護人の求釈明であれば検察官)に、「何か言えることありますか」という形で問い、「任意で答えることができることがあれば答えて下さい」という形で、まず、振っていました。そういう性質の問いかけなので、検察官のほうで、「釈明の必要がない」という場面が多かったということになります(裁判官が、「これは必要がある」と考えて釈明しているのであれば、釈明されたほうには答える義務があるはずで、「釈明の必要がない」だけでは済まないでしょう)。
先日の公判では、まず、検察官が任意で答えることができる範囲内で答え、裁判所として、その答えも含めて考えると、さらに釈明を行う必要がないと判断して、「これ以上の釈明は求めない」と宣言する場面が多かったということになります。

次からは、「分析」に入る予定です。

(続く)