<小倉簡裁>罰金30円…裁判官誤記、正式裁判で判決修正へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111117-00000044-mai-soci

刑法は罰金を1万円以上と定めており、今回の命令は法令違反となる。
支部などによると、男性は6月、市内で赤信号に気づくのが遅れて衝突事故を起こし、相手の運転手らに軽傷を負わせたとして書類送検され、9月末に自動車運転過失傷害罪で略式起訴された。小倉区検は罰金30万円を求刑したが、簡裁の裁判官は10月4日付で罰金30円の略式命令を出し、男性に同12日付で命令書の謄本を送った。
その後、男性の元に区検から30万円の罰金納付告知書が届き、男性が区検に金額が違うと連絡。区検が簡裁に指摘して裁判官のミスが判明した。区検は同18日、小倉簡裁に正式裁判を請求。

民事訴訟であれば、更正決定で誤りを正す、ということになるのだろうと思いますが、刑事訴訟ではそういう制度がないので、判決なら言ってしまったもの、略式命令なら出してしまったものが、たとえ誤っていても判決、命令になってしまい、その後は、上記のように正式裁判を申し立てるなどして是正するしかないですね。
私も、この世界で20年余り働いていて、いろいろな話を聞きますが、罰金30円という話を聞くのは初めてで、なかなかスケールが大きい(小さい?)過誤だな、と思いました。複数のチェックは、裁判所内で入っているはずですが、やってしまう場合はこういうものなのでしょう。
これが、確定後に発見された場合は、非常上告による是正、ということになりますが、刑訴法458条で、「非常上告が理由のあるときは、左の区別に従い、判決をしなければならない。」とされ、1号で、「原判決が法令に違反したときは、その違反した部分を破棄する。但し、原判決が被告人のため不利益であるときは、これを破棄して、被告事件について更に判決をする。」とされていて、罰金30円を破棄して、罰金の最低額である1万円という判決をする、ということはできないようなので、非常上告の対象になれば、破棄され何の処罰もなく終わり、ということになったのではないかと思います。確定前に、正直に連絡して、かえって損をしている、というのも、気の毒という気はします。

2011年11月16日のツイート

信者1000人超と報告=事件知らぬ若年層に拡大―原点回帰も鮮明に・アレフ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111117-00000067-jij-soci

アレフはインターネットの交流サイトや大学で団体名を隠して近づき、ヨガ教室に誘うなどの手口で勧誘。多く入信させた信者に特別な修行を許す優待制度を設けるなど拡大に力を入れており、参加者が300人を超えたセミナーもあった。元代表松本智津夫麻原彰晃)死刑囚の「生誕祭」や肖像の掲示を公然と行い、以前の修行法や教本も復活させるなど原点回帰も鮮明化している。 

私は、今ではしがない弁護士になり果てていますが、平成7年から平成8年にかけては、東京地検公安部検事で、オウム真理教(当時)関係の捜査に関わって、信者は随分と取り調べたものでした。オウム真理教の特徴は、原始仏教チベット密教をうまく取り入れて教義や教団の仕組みを作り上げ、日本ではそれまでになかったユニークな存在になったことで、それだけに、高学歴の若者も取り込んで勢力を伸ばした面があったと思います。
あれだけの犯罪に走ってしまった原因は、グルの指導に絶対的に従い解脱を求める(よく「無限の帰依」という言葉が使われていました)という仕組になっていたことから、そのグルが暴走してしまえば、信者が皆でもろともに暴走してしまう、というところにあったのではないかと、今振り返っても感じます。そういった危険性を、取調官として散々見てきただけに、上記のような動きには、危惧を感じますね。
カルトの問題は、日本だけでなく世界的な問題ですが、信教の自由は尊重しつつも、そういった人や組織が違法、不当な行為へ走ることに無頓着な社会であってはいけないと思いますし、オウム真理教関係で起きた様々な犯罪や犠牲者の人々を、過去の事として、ただ風化させてしまってはいけない、ということも、しみじみと感じるものがあります。