痴漢事件、任意同行は違法…懲役求刑に罰金判決

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110803-00000206-yom-soci

捜査の違法性を量刑判断の材料とするのは異例。
7月20日の判決によると、被告は昨年8月、府内の商業施設で女性の体を触った。弁護人によると、被告は現場近くで八尾署員に職務質問を受け、「何もしていない」と任意同行を拒んだが、無理やりパトカーに乗せられ、逮捕された。
伊藤裁判官は判決で、痴漢行為を認定したが、任意同行については「体の自由を奪って車に乗せており、違法」と指摘。「懲役刑がやむを得ないとは言えない」と述べ、罰金50万円(求刑・懲役4月)を言い渡した。

捜査機関による違法、不当な行為の存在が、量刑上、考慮されることはありますが、あくまでも犯罪後の事情として、被疑者、被告人が被った苦痛としての考慮というのが本来の筋で、そうである以上、考慮の度合いは自ずと限定されてくることにはなるでしょう。ただ、それでは、違法、不当な捜査のやり得ということになりかねず、もっと踏み込んだ考慮をする、というのも、1つの方法としてはあり得るのではないかと思います。
上記の記事での、懲役刑求刑に対し罰金刑という判決で、違法捜査が、いかなる理由でどの程度考慮されたか、よくわかりませんが、今後の動きを占う上で参考になる、という気はします。

2011年08月02日のツイート

<ドイツ>ナチス副総統の墓撤去…教会が極右「聖地」化阻止

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110803-00000018-mai-int

ヘスはヒトラーの腹心で、第二次大戦後の戦犯裁判で「人道に対する罪」などで終身刑の判決を受け、ベルリンの刑務所に収監された。93歳で獄中自殺したが、ナチス幹部の中では最後まで生存した一人としてネオナチから神聖視され、墓は長年、巡礼先になっていた。

欧州では、先月22日に起きたノルウェー連続テロ事件の容疑者が過激な極右思想の青年だったことから、極右に対する警戒が高まっている。ブンジーデルのベック市長は独メディアに「ノルウェー事件後、極右がこのような動きを見せるのはドイツの恥だ」と語り、ネオナチを非難した。

ルドルフ・ヘスは、第二次大戦の最中に、単独で英国へ飛行し(和平実現を目指していたと言われています)、捕虜となった後、ニュルンベルク裁判で終身刑となり、長く受刑生活を送り、1987年に93歳で死亡しています。自殺とされていますが、他殺説もささやかれ、また、替え玉説も唱えられ(単独飛行時に入れ替わったとされる)、そもそも単独で英国へ飛行した点からして謎めいており、そういったミステリアスさもあって、次第にネオナチ信奉者により神格化されてきたのでしょう。
第二次大戦後、旧西ドイツ時代から、憲法擁護庁を設置し、ネオナチの動きを積極的に排除してきたドイツで、ノルウェーでの衝撃的なテロ事件もあり、そういった神格化に対して断固たる措置を講じるべきという気運が急速に高まってきたであろうことは、戦後ドイツの歴史に照らして理解できるものがあります。
ネオナチの問題を、小説でうまく扱っていて、かつて読んでおもしろいと思ったのが、フレデリック・フォーサイス

オデッサ・ファイル (角川文庫)

オデッサ・ファイル (角川文庫)

で、ナチズムが、過去の遺物ではなく、今なお、現実的な脅威であることが、上記の記事を読んで改めて感じられました。