もし自分が法律初学者だったら

私が司法試験に合格するまで(その1からその6)
1 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041009#1097330802
2 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041010#1097340812
3 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041010#1097384981
4 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041010#1097415623
5 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041030#1099112152
6 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050508#1115514375

最近、もし自分が、頭の中の法律知識をすべて失って、司法試験を目指す初学者として一からやり直す場合、どうやって勉強するか、ということを考えることがあります。その場合、上記のような自分の経験(それは覚えているとして)を踏まえることにはなるでしょう。
おそらく、まず、それぞれの法律について、基本書として何を使うかを慎重に選定するでしょう。その場合、合格まで使い続けられそうな、受験生によく使われている、読んでいて違和感が感じられないような(性に合うような)、分量として不足がない(あまりにボリュームがあるものも避けますが)ものを選ぶと思います。
みっちりと読むものとしては、選定した基本書のほか、最近は予備校が出しているテキストもいろいろな種類があって選べるので、基本書を補完するものとして1種類程度持っておき、基本書を読みつつ、適宜参照するようにするのではないかと思います。あとは、「判例百選」のような判例本を手元に置いておくかもしれません。
そして、1年くらいかけて、まずは、基本3法(憲法民法、刑法)について、基本書をじっくりと読み込む勉強をするでしょう。実力のある先輩の指導を受けられるのであれば、そういった場にできるだけ出るようにして、とにかく徹底的に基本書を読み込むと思います。この段階はインプット中心で、アウトプットのほうはあまり気にしないようにします。基本3法について徐々に理解が進んできたら、商法、訴訟法、選択科目といったものも、徐々に基本書を読み込んで行くようにします。商法、訴訟法まで、こういった作業を一通り行うためには2年程度はかかるでしょう。
こういった作業を一通り終えたら、旧司法試験、新司法試験で出題された過去問(択一、論文)を解いてみたり、予備校で実施している各種テスト、答案練習会を利用するなどして、アウトプットができるようにしてトレーニングするでしょう。こういったアウトプットのほうは、基本書の精読の段階から、できるものは徐々にやっておいてもよく、基本書精読段階が2年とすると、その後の1年程度で、アウトプットのほうを、司法試験合格レベルにまで引き上げることを目標とすると思います。
新司法試験で言うと、勉強を初めて2年間で択一合格レベルまで引き上げ、さらに1年で論文合格レベルにまで引き上げて行くということを、おそらく、私が勉強するならば目指すでしょう。

損害賠償金をめぐる税務―Q&A 法人・個人のための 法人税・所得税・消費税 各税の取扱いについて回答

損害賠償請求という場面に関わることは、弁護士をやっているとよくありますが、請求が認められ支払われた後については依頼者に委ねるのが、私の場合は普通です。ただ、その後の納税が発生することも当然ありますから、こういった本が出ているのを知って、入手し手元に置いておくことにしました。
ちょっと目を通してみましたが、法令に基づき、各種の損害賠償金における税務の取り扱いが具体的に説明されていて、かなり役立ちそうです。

小沢氏は「起訴相当」 検審が議決 土地購入事件

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100427-00000581-san-soci

特捜部が再び不起訴処分としても、起訴相当の議決が再度出された場合、審査会の議決に法的拘束力をもたせた改正検察審査会法に基づき、小沢氏は強制起訴される。

先程、マスコミ某社の取材を受けコメントもしたのですが、起訴された小沢氏の元秘書の供述中に、本件に関する小沢氏への報告や了承、といったことを語っている部分があるようであり、それについて、検察庁は、概括的、曖昧と見て共犯性(共謀共同正犯における共謀)を立証するのが困難と見たのに対し、検察審査会は、他の証拠関係(小沢氏の立場、証拠隠滅工作とされているもの)等も踏まえつつ、共犯性が立証できると見たものと思われ、証拠というものの見方が、プロの検察官と、国民から選ばれた検察審査員で大きく異なった、ということでしょう。
不起訴の前の検察庁内での検討の際も、起訴できるという見方はあったと報道されていて、検察審査会の見方も、あながち排斥できない1つの見方ということはできるでしょう。
今後は、まずは東京地検が一転して起訴に踏み切るかが焦点になりますが、組織として嫌疑不十分という判断をしたものを、それも、最高検にまで報告した上での判断を、一転して覆すとは考えにくく、再度の不起訴、検察審査会での起訴相当の再議決、強制起訴という流れになる可能性は高そうです。
証拠をみていない立場で、犯罪事実が認定できるかどうかを軽々に論じることは困難ですが、こういった議決が出る背景には、

4億円「知人から預かった」=土地購入翌年の入金−再聴取に小沢氏供述
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20100202#1265060000

で、

政治家が政治資金を調達するパターンとしては、
1 元々持っている資産を使ったり、営む事業から捻出する
2 共産党公明党のように、組織力で資金を調達する
3 個人から薄く広く資金を集める
4 企業、団体献金に依存する
といったものがあって、鳩山首相の場合は1、小沢氏の場合は、西松事件に見られるように4に属するでしょう。企業、団体は、何らかの思惑がなければ資金を、特に多額の資金となると出しませんから、そこに贈収賄等の犯罪が潜在する可能性が常にあって、特捜部のターゲットは4のパターンの政治家に集中しやすい傾向があります。
政治資金に関する規制の強化で、かつては4に属していた政治家も、3に移行せざるを得なくなっている面があり、これはあくまで私の印象ですが、そういった状況の中、特捜部が情報収集する中で、突出して豊富な資金を集めている4の政治家が小沢氏、ということではないかと思います。その背景には、小沢氏の突出した政治力というものがあるでしょう。

とコメントしたような背景事情に対する、国民の厳しい目というものがある可能性が高い、という印象も私は受けています。