市橋被告「殺意なかった」=弁護団、争う姿勢−英女性殺害

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091224-00000181-jij-soci

弁護団は強姦(ごうかん)致死罪についても「犯行時間があいまい」と指摘。暴行から絞殺までには約半日あると考えられるとし、争う方針を明らかにした。
弁護団によると、市橋被告は「2007年3月25日午前、リンゼイさんを自宅マンションに連れて行き、暴行した」と説明。翌26日未明、リンゼイさんが逃げようとしたため、「後ろから首に腕を掛け、締めたらぐったりしてしまった。人工呼吸をした」と話しているという。 

証拠を見ていない立場なので報道に基づく推測になりますが、千葉地検は、現場や遺体等の客観的状況から、強姦行為と殺人行為が接着した時間内に行われたと判断し、起訴しているのではないかと思います。被告人は、手足を縛った状態で強姦し、その後、しばらく室内で過ごした後、殺害したと供述しているようですが、遺体は手足を縛られた状態で発見されたようであり、その状態でしばらく室内で過ごすというのは不自然、といった判断を千葉地検がしている可能性はあると思います。そういった判断の下では、被告人の、上記の記事にあるような供述は、いわゆる「半割れ」で、真相を十分には語っていない、ということになるのでしょう。
今後、公判前整理手続の中で、千葉地検がいかなる証拠で立証しようとしているのか明らかになるはずですが、それに対し、弁護団が従来の方針を維持するのかどうかということも注目されるように思います。

終末期医療 手探り続く

http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000000912220003

射水市民病院で末期がん患者ら7人が人工呼吸器を外され死亡した問題。殺人容疑で書類送検された主治医2人について、呼吸器外しを延命治療での一連の行為ととらえた地検は、嫌疑不十分の不起訴処分という結論を導き出した。事件は医療界に終末期医療のガイドラインづくりを促した。
21日午後3時。地検は不起訴処分の発表をした。
「呼吸器装着と取り外しは、延命治療とその中止に過ぎない。殺人の実行行為ではない」
地検は不起訴処分にあたり、家族が満足いくみとりのために、あえて呼吸器を装着して延命するケースもあることを勘案した。そのため、北海道や和歌山県で起きた呼吸器外し問題よりも踏み込んだ判断に至った。

この種の行為には、死期が迫った患者に対し苦痛を和らげ安らかな死を迎える等の目的で積極的に死期を早める措置を講じる場合(作為型)と、同様の目的から延命措置を中止するという場合(不作為型)があると思います。ケースによっては両者の混合型もあり得るでしょう。
殺人罪の成否については、明確な基準がない現状では、ケースバイケースで見て行くしかありませんが、上記の記事にあるような検察庁の見方(一連の行為を全体として捉え、延命治療の中止の時点だけでは見ない)は、今後の同種事案を検討する上で、先例として参考にされる可能性が高いという印象を受けます。
最近、最高裁が判断を示し、本ブログでも

模索続く終末期医療の現場 刑事責任…消えぬ不安
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20091210#1260403964

とコメントした事件でも指摘されていましたが、終末期医療において、やって良いこと、いけないことの基準が不明確なまま、人が次々と一度しかない人生の終末を迎えているという現状があり、やはり、方法はともかく基準を明確にするということが早期に求められているように思います。