「戦国の村を行く」

 

藤木氏の本は、読んでみたいと思いつつ、買って放りっぱなしでなかなか読めずにいたのですが、これがKindleで出ていることを知り、落として読んでみました。予想通り興味深く読めました。

私のような素人が、戦国時代の村について抱くイメージは、一方的に領主の収奪され、戦争の際には戦力として駆り出され、戦場になれば、ただ略奪され逃げ惑う、哀れな人々というものです。しかし、藤木氏により描き出される戦国の民人らは、したたかに領主に対して臨み、一旦、戦場になるや城へと逃げ込んで自己防衛を図り、領主に金を提供して略奪を免れるなど、単なる弱者ではありません。そういった実態に、残された史料に丹念に当たりながら迫っていく藤木氏の手法には、丹念な捜査により犯人を追い詰めていく刑事のような執念を感じるものがあります。実証的であり、参考になりました。

今後も、藤木氏の著作は徐々に読んでいきたいと考えています。