「真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960」

 

私自身、東京地検公安部に在籍していたこともあり、また、その後も右翼、左翼といった存在には興味、関心を持っていて、平均的な日本人よりはそういった分野についての知識はあるほうだと思いますが、特に左翼は、様々な政党やセクトが登場し、本を読むにしても1冊ではとてもカバーできず、その歴史を学ぶのは骨が折れるものです。

この本は、対談形式で読みやすく、表題にもあるように、戦後、1960年頃までの左翼史を鳥瞰的に振り返っていて、なかなかおもしろく、ためになる内容と感じました。

例えば、共産党にしても、現在の、目に見えている共産党だけ見ていたのでは、彼らが何を目指しているか、なぜ「敵の出方論」について激しく争われるのか、皆目わからないはずです。わからないまま、政府のプロパガンダ共産党プロパガンダに安易に左袒するのではなく、まずは、これまで何が起きてきたか、歴史に目を向ける必要があるでしょう。

もはや歴史の彼方に消えてしまいましたが、社会党にしても、その残党は日本社会や政治の、様々なところに散らばりつつ棲息しており、社会党の歴史を学ぶことは今を知ることへつながります。

そういった意味を含め、お勧めできる1冊です。