<はれのひ>虚偽書類で融資申請 晴れ着被害、捜査難航

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180624-00000049-mai-soci

一方、予約していた晴れ着を着れなくなった被害者について、神奈川県警は、同社に客をだます意図があったかどうかの立証は困難とみており、晴れ着トラブルの捜査は難航しそうだ。

利用者の支払を詐欺罪の「詐取」と立証するためには、支払を受けた時点で、未必的であっても(そうなるかもしれないがそうなって構わない、という意図)、破綻が必至で晴れ着サービスが提供できないという故意が必要ですが、こういう自転車操業の経営者は、あちこちから金を引っ張りながら何とか延命しようと必死に動いているもので、「資金繰りにより何とかなると思っていた」という弁解がよく出るものです。破綻寸前まで、融資や他社による買収の話があったという報道も、確かあったと思いますから、客観的にはともかく被疑者の主観面、内心の問題として、上記のような未必の故意を認定していくのはかなりハードルが高いでしょう。
また、実務上も、被害者が多数で、各被害が数十万円くらいということで、膨大な供述調書を各被害者から作成する必要があり、各被害者の支払の時期がばらばらで、支払の時期によっては、到底上記のような故意を含む詐欺罪の立証ができないというものも多数含まれるはずですから、全体を事件としてまとめるのは相当困難であろうと思います。このような問題性は、おそらく「てるみくらぶ」の事件とも共通していて、てるみくらぶの件では、利用者からの詐取は立件されず、金融機関からの融資金詐取と詐欺破産として事件がまとめられています。
今後は、はれのひが金融機関から詐取した融資金関係の余罪も含めて立件、起訴されて、それで捜査は終結という方向で進むでしょう。被害額は数千万円から余罪の出方によっては億単位になりますから、十分実刑事案ということになると思います。