バブル:日本迷走の原点

バブル:日本迷走の原点

バブル:日本迷走の原点

最近、こういったバブル期を取り上げた書籍が複数出てきていて、ちょっとしたブームのようになっていますが、それだけ、過去を知ることで現在をより知りたいという人々の欲求が高まってきているような気がします。平成生まれも徐々に増える中、バブル期を歴史として学ぼうという動きも強くなっているのかもしれません。
私は、昭和62年からの2年間を司法修習生として過ごし、平成元年に検事に任官して、バブルを目の当たりにしつつ青年時を送ったという立場で、当時はよく分からないまま、すごいことが起きているという印象でしたが、その後、検察庁で、バブル崩壊の後始末的な事件処理(住宅金融専門会社絡みの経済事件など)も担当したこともあって、あの時代は何だったのかということを自分なりに考えつつ現在に至っています。そういう私にとっても、この本はいろいろと考えさせられる、深みのある内容を持つものでした。
戦後、急速な経済成長を遂げ、世界有数の経済大国へと台頭した日本が、その持てる経済力故に、実体をはるかに超える名目上の株価、地価を、正にバブルとして抱えてしまった経緯が、本書では振り返られています。振り返れば、深刻な破局を回避できるチャンスがあったことも指摘されています。過去は変えられないが未来は変えられる、その意味で、本書で学ぶべき点は多いのではないかと、読みながら、また読み終えた後にも感じました。