<甘利氏問題>UR本社も捜索…東京地検特捜部

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160410-00000001-mai-soci

甘利氏側に相談した翌月の13年6月、甘利氏側がURと面談するとURが約1億8000万円の金額を提示。同年8月には、4000万円上積みした約2億2000万円で契約を結んだ。

契約後、元公設秘書に計500万円、同年11月と14年2月に甘利氏に計100万円を手渡している。

この件については、以前、

あっせん利得処罰法の「権限に基づく影響力を行使して」の解釈
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20160128#p2

特に国会議員の場合、国政調査権、委員会における質疑権、内閣に対する質問権など、様々に強力な権限を持ち、他の議員に働きかけてそういった権限を行使させることもできますから、その権限に基づく影響力を行使する余地はかなり広く大きなものがあって、そうであるからこそ、様々な人々が国会議員に、その中でも有力政治家にアプローチをかけようとするのが実態でしょう。甘利氏は、その意味では「一強」状態の安倍内閣の中での有力閣僚であったわけですから、財産上の利益を供与して、その権限に基づく影響力を行使してほしいという人が近づいてくるのは、ごく自然なことであり、多額の現金を収受したり繰り返し接待を受けたりしつつ口利きを依頼されながら(されていたとして)、その権限に基づく影響力を行使する、そういう趣旨が込められているという認識がなかった、というのは、口利きを依頼されている問題が複雑困難なものであればあるほど、社会通念に照らしてむしろ考えにくいことではないかと思います。

とコメントしたことがありますが、上記の記事を見ると、あくまで外形上は、ですが、口利きを依頼したことにより具体的な成果が出て謝礼を差し上げました、という流れが見て取れます。内偵してみてこれは駄目だなという見通しになれば、これほど大規模で徹底的な捜索は行われないはずで、特捜部として一定の「手ごたえ」を感じ、いけると踏んでいる可能性は感じるものがあります。こういったタイプの事件を積極的にやれるようになれば、贈収賄事件がなかなか立件できない現状で、知能犯捜査上、強力な武器になることは確実で、それだけに、今後の捜査の行方には注視すべきものを感じます。
UR本社も捜索の対象にすることで、URが絡む別件へと捜査が広がっていくことも可能性として考えられないではなく(そうして捜査を進展させるのが特捜部の伝統的な手法です)、その意味でも目が離せないと思います。