http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00240901.html
関東連合の元メンバーらによる男性殺害事件で、東京地検は、元メンバーらを殺人ではなく、傷害致死の罪で起訴する方針を固めた。
実行犯らは、殺意について一貫して否認しているほか、誰の一撃が致命傷になったのか、認定するのが困難な状況となっている。
本件の証拠構造を推測してみると、
1 事前、または、現場における共謀
2 実行行為(特に被害者の致命傷になった殴打行為)
ということになると思われます。1で、殺意を含めた共謀が認定できなければ(上記の記事によると、そのようです)、2で、実行行為に及んだ者については殺人罪を認定(金属バットで頭部を殴打したのが致命傷になったようですから、その行為自体から殺意も認定できるでしょう)、ということになりますが、実行行為者が特定できなければ、それもできない、ということになります。
結局、おそらく、共謀としては「暴行もしくは傷害を相手に及ぼす」という限度では、少なくとも現場における共謀が認定はできる、という判断の下で、そのような共謀に基づいての暴行、傷害により被害者が死亡したことは認定でき(しかし殺意までは認定できず)、傷害致死罪の限度で共謀共同正犯(実行行為者が特定できなくても、暴行ないし傷害の共謀に基づく行為により死亡の結果が発生していれば、特定は不要)、という認定での起訴、ということになったものと推測されます。
この種の事件では、複数の被疑者の中の、誰のどの行為により傷害が発生し、致死へとつながったのか、特定が難しいケースが出てきますが、証拠による認定の限界として、誰かが金属バットで殴打して殺害したこと自体は明らかであるのに、傷害致死の限度での責任追及、という、やや珍しい処理になった、と言えるでしょう。証拠による認定の難しさ、ということを感じさせられます。