勲章 知られざる素顔 (岩波新書)

勲章 知られざる素顔 (岩波新書)

勲章 知られざる素顔 (岩波新書)

ちょうど、春の叙勲の季節ですが(今のところ東日本大震災の影響で発令が延期されているということですが)、興味を感じて読んでみました。新書なので、手間もかからずさらっと読め、我が国における勲章の歴史や人間模様などがわかりやすく紹介され、コンパクトながら中身が濃く、参考になりました。
民主主義を標榜する諸外国にも同様の制度はあり、功績や努力を褒め称える制度を設けることには一定の意義も認められますから、勲章というものを全廃すべきとまでは思いません。ただ、感じるのは、様々な問題点が指摘されながら存続している、それを支えているのは、人間の名誉欲であり、自分が他よりは優れていると思い、思われたいというエゴであり、結局は、「業」により支えられているのであって、勲章は、そういった人間の業を水面に映し出したようなものであるということです。そういった業を、人間が捨て去ることができない以上、勲章というものも、形は変えつつもなくなることはないでしょう。
ちなみに、私はしがない弁護士ですから、叙勲という可能性は皆無で、今後、万が一、打診があっても、人間の業を水面に映し出したようなものを受ける気はないですね。