多重債務者「食う」弁護士、2次被害が続出

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100403-00000507-yom-soci

背景には、過払い金返還や債務減額で年間1兆円を超す「ビジネス市場」がある。相談者の生活再建より利益を重視する一部弁護士らの姿勢に批判もあり、深刻なトラブルに発展するケースも出始めている。

利息制限法による制限を上回る過払い金の返還請求は、特殊な技能を要するような性質のものではないため、弁護士、司法書士にとって、おいしい、うま味のあるビッグビジネスと化してしまっている面がありますね。
私も、以前、個人の債務整理案件を手掛けていたことがありますが(現在はやっていません)、本来、そういった案件は、個々の依頼者からよく話を聞き、生活再建という観点から、最善の方法を選択するというものであるべきで、まず過払い金ありき、といった、弁護士や司法書士等が、金になる案件を求め、ハイエナが死肉を探し求めむさぼり食らうような状態は、あってはならないことではないかと思います。
ただ、そういった状態が生じている背景には、弁護士について言うと、

1 以前は原則禁止だった広告宣伝が原則自由となり、問題のある弁護士、事務所が大々的な広告宣伝をうち被害が拡大するような事態が生じることを防止しにくく弁護士会としての対応が後手後手にまわりがちであること
2 独禁法抵触の問題から報酬基準が撤廃され、各弁護士が個別に費用を定めることになったことで、依頼者にとっては不利な費用設定が行われても、「自由競争」の建前の下、排除しにくくなってしまっていること
3 弁護士急増、競争激化という状況の下、個人の債務整理案件に多数の弁護士が群がるようになり、本来のあるべき姿が見失われてしまっている傾向が大きく生じていること

といった根深い、深刻な問題があります。
宇都宮日弁連新会長の下、当面は、上記1の対策として、例えば、個人の債務整理案件については弁護士会による広告宣伝しか認めないとか、上記2の対策として、例えば、個人の債務整理案件に限って報酬基準を定めそれに従うことを義務付けるとか、他の対策として、依頼者の居住する都道府県及びそれに隣接する都道府県に事務所を置く弁護士でしか個人の債務整理案件の依頼を受けられないなど、具体的かつ効果的な対策というものが早急に求められるのではないかと思います。