栗田艦隊退却す―戦艦「大和」暗号士の見たレイテ海戦 (光人社NF文庫)

栗田艦隊退却す  戦艦「大和」暗号士の見たレイテ海戦 (光人社NF文庫)

栗田艦隊退却す 戦艦「大和」暗号士の見たレイテ海戦 (光人社NF文庫)

裁判所からの帰りに、書店に立ち寄ったところ、この本があり、早速、買いました。著者(平成14年没)は、戦艦大和の暗号士としてレイテ沖海戦に参加していて、まだ少ししか読めていませんが、かなり実証的な書きぶりが参考になりそうに感じました。
「謎の反転」に関する部分を少し読んでみましたが、著者は、反転を「退却」と捉え、栗田中将の「勇将たり得なかった」側面を指摘しつつも、

私たち多くの艦隊乗組員は、彼の決断により、その瞬間から生命を救われることになったのである。
(264ページ)

と、反転イコール失敗とは捉えず、やむをえない撤退であったということを色濃くにおわせていて、反転を失敗と厳しく捉えるのは戦後の評価であり当時の作戦行動に参加した日本海将兵の多くは、これで全滅を免れ救われたと感じた、という見方を強く裏付けるものではないか、という印象を強く受けました。
レイテ沖海戦については、

レイテ沖海戦1944―日米四人の指揮官と艦隊決戦

レイテ沖海戦1944―日米四人の指揮官と艦隊決戦

も手元にあり、こちらはかなり大部でまだ読めていないのですが、いろいろな観点で書かれたものを比較しつつ読むことには興味深いものがあると感じています。