http://www.asahi.com/national/update/1001/TKY200610010179.html
今回明らかになった日本の政府提案は99年3月、国連の条約起草委員会に示された。当時の条約原案では、「共謀罪」か、組織的犯罪集団の活動に加わるだけで処罰する「参加罪」を国内法に盛り込むことを例外なく要求していた。日本は「日本の国内法では、犯罪は既遂か未遂の段階で初めて処罰するのが原則。すべての重大な犯罪に共謀罪や参加罪を導入することは日本になじまない」と強調、条約に国内法の基本原則を尊重する条項を盛り込むよう要求した。
日本の提案に韓国や中国、タイなどが賛同し、条文に「締約国は、自国の国内法の基本原則に従って必要な措置を取る」との文言が加えられた。
さらに、もともと共謀罪や参加罪といった犯罪類型を持たない国々を念頭に、日本は「参加罪」の変化型を新たな選択肢として示した。「組織犯罪集団の行為に参加することで、それが犯罪の成就に貢献することを認識しているもの」という要件だった。
日本政府が、早くから、「共謀罪が日本になじまない法制度である」ということを認識していたことを示すものと言えるでしょう。政府自身が、日本になじまないと考えているものを、国会や国民に理解しろ、受け入れろ、というのが、無理な話だと思います。
様々な議論の中で、「共謀罪」の原型である英米法の「コンスピラシー」と、日本法が採用する「共謀」概念が、似て非なるものであることは明らかになっており、日本には存在していなかった法概念を新たに受け入れることができるか、受け入れられない場合はどうするか、という、本質にさかのぼった議論を十分行う必要があると思います。