<共謀罪>衆院法務委員会で本格審議入り

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050712-00000150-mai-pol

政府側が「市民団体や労働組合の活動には適用されない」と強調したのに対し、民主党は「拡大適用の恐れがある」と廃案を求めた。

共謀罪に関す法律案の表現を見てみましたが、上記のように、「市民団体や労働組合の活動には適用されない。」と言われて、そうですか、それなら大丈夫ですね、とは言えないと思いますね。そういう、甘っちょろいものではなく、規定にあてはまるようなことをやれば、市民団体でも労働組合でも、「組織犯罪」として十分取り締まることができる内容になっていると言っても過言ではありません。
そもそも、従来の「共謀」に関する裁判例は、徐々に、なんとなく共謀の雰囲気があれば共謀扱いする、という方向で、どんどん積み重ねられているという面があるでしょう。確かに、組織犯罪などでは、上部にいる「黒幕」的な存在を取り締まるために、共謀に関する強気の認定が効果的な場合が多く、近時の治安悪化、犯罪増加の中で、共謀に関する裁判例が、上記のような方向で進むのも、そういった背景を踏まえて見て行く必要があるでしょう。
ただ、このような流れの中で、さらに共謀罪が成立すれば、捜査機関が取り締まりたいと思う対象は容易に取り締まれる、起訴までは無理でも何だかんだと理由をつけてガサ入れしたり、各種の嫌がらせ等のネタには使える、といった恐れが多分にあり、根強い反対があることにも、うなずけるものがあります。
国会における慎重な審議を望みたいと思います。

追記:

共謀罪衆院で実質審議開始 与野党の修正要求相次ぐ
http://www.asahi.com/politics/update/0712/009.html

漆原議員は「悪く言えば、国際性の名を借りて、国内の処罰対象を広げたという批判もある」と追及した。

「悪く言えば」ではなくて、ごく普通に言って、そういうことなのでしょう。一旦、共謀して、その後、実行には移さずやめる、というケースは、実際にかなりあって、従来はその中のごく一部しか処罰できなかったものが(予備罪など)、共謀罪が新設されることによって、相当数を処罰の対象にできることになります。
組織の中のある者が、捜査機関に迎合したり媚を売ったりして、「こういう犯罪を共謀しました。」などと話をでっちあげて(あるいは捜査機関の間違った見込みに話を合わせて)しまえば、起訴まではできなくても、23日間(逮捕と勾留)は身柄がとれますから、ロンドンの爆破テロのようなテロ対策(対策を講じること自体は必要ですが)のため、捜査機関が狙いをつけた組織とか集団を一網打尽にする手段として、共謀罪が濫用されるといったことも、十分起こり得ると思います。