10月21日の参議院予算委員会での議論について(winny)

壇弁護士のブログ

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や、奥村弁護士のブログ

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20041023#p2

で紹介されているが、民主党の福山議員が、winny開発者の起訴問題について質問しており、ネット上でその模様をじっくりと見た。
福山議員の質問は、この問題のポイントを鋭く突いており、かなり、よく勉強をされていることに感心した。
それに対し、実務的な点で主として答弁したのは、法務省の大林刑事局長であったが、具体的な事件の中身にわたることについては答えられない、という、従来からの一般的な対応で「逃げ」をうっていた。
ただ、その中で、見逃すべきではない、と感じたのは、福山議員の、「P2Pソフトなのだから、開発者がファイル共有を認識するのは当然であり、それで起訴されたらたまらない。」という追及に対して、大林刑事局長が、開発等をおこなったというだけで起訴するわけではなく、むしろ、起訴されないのが原則である、と述べた上で、証拠関係については言及できないと言いつつも、故意の問題が重要でありそこがポイントである、という答弁をしていたことである。
福山議員の質問、大林刑事局長の答弁を、全体として見て、そこから意味のあることを読み取るとすれば、法務省としては、
1 P2Pソフトの開発自体を違法視しているわけではない
2 「違法な」ファイル共有に使用されうるという認識、認容程度では、違法とまでは言えない(違法なファイル共有に使用されうる、という認識を持たずに開発できるはずがなく、起訴しないのが原則、という刑事局長の答弁は、そういった認識の程度では違法ではない、と言うことと同義である)
3 京都地裁で審理中のK氏の事件では、上記の2を上回る程度の故意があったので起訴されたもので、あくまで「例外」ケースである
ということを言っているということになると思う。
私は、このブログで、9月6日に、
ウイニー幇助公判について(分析・その4 最終)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040906
と述べたが、法務省検察庁も)としては、K氏のような立場の者について、単なる一般的な故意があるだけでは、少なくとも立件、起訴するだけの違法性があるとは考えておらず、「確定的故意」(自らの行為が、正犯の行為を確定的に幇助しているという認識、認容)が必要であることを、事実上、認めたと言っても過言ではないと思う。その点、今回の福山議員の質問には、大きな意義があったと言える。