旧石川銀不正融資:借り手側会長の有罪確定へ 最高裁

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080521k0000m040075000c.html

小法廷は「焦げ付きが必至と認識しながら、融資の実現に積極的に加担した。共犯と認めた2審は相当」と述べた。

こういった案件で、借り手側の刑事責任が問題となる場合、単に貸し手側の任務違背性等を認識しているだけでは足りず、上記の判例が言うように「積極性」といった要素が必要ということは、昔から言われてきたことですが、最近は、「中立的行為による幇助」といった問題の中でも検討されているようであり、古くて新しい問題と言えるように思います。
実務家としては、「積極性」の中身について、それぞれの事件で、どのような点に着目され何が有罪方向、あるいはその逆に無罪方向に見られているか、ということが非常に重要であり、特にこの種の案件を担当する際には十分な検討を要する、という印象を受けます。

裁判員制、開始まで1年「対応困難」5弁護士会

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080521-OYT1T00101.htm

裁判員制度に対応できる弁護技術を持つ弁護士の数を十分に確保できるか尋ねたところ、岐阜、和歌山、島根、香川が「確保は難しいかもしれない」と悲観的な見通しを示し、愛知も「三河地区では厳しい」と回答した。「十分に確保できる」と自信を見せたのは東京、大阪、大分だけ。30か所は「ぎりぎりだが何とか確保できる」との回答だった。残る2か所は、「確保できるよう準備する」などと答えた。
確保が難しいとした弁護士会は、弁護士数が39人と全都道府県で最も少ない島根など、弁護士過疎に悩む所が多い。「裁判員裁判で(公判を毎日行う)連日開廷をこなそうとすれば、他の業務に支障が出る」(島根)と訴えている。

「ぎりぎりだが何とか確保できる」とする30か所のうち、内実はかなり不安を抱えている、というところが、かなりあるのではないか、と思います。本当に実施できるのかどうか、個人的には疑問を感じますが、実施されてしまうものは仕方がないので、何とか対応するしかないでしょう。
やはり、本ブログで前から何度か言っているように、公設弁護人事務所を各地に設置し、そこを各地域における国選、当番、裁判員対応の中核として、何とか乗り切って行くしかないのではないか、と思います。
「よろしく 裁判員」(という看板はもうなくなったようですが)などと言っている暇があったら、現実的に対応できる態勢作りを積極的に進めるべきでしょう。