「児童ポルノ」閲覧制限 国会図書館、摘発対象指摘受け 

http://www.asahi.com/national/update/0717/TKY200507160368.html

ちょっと前のニュースですが、欧州出張中の新聞を整理していたところ、目にとまりました。

法務省刑事局の風紀担当は「有罪認定されないと判断できないという言い分はおかしい」と話す。

私も同感ですね。奥村弁護士を「顧問弁護士」にして、奥村弁護士の事務所経由で収蔵して行く、というのも、一つの効果的な方法かもしれませんが、それなりに法律の素養がある人が見れば、十分判断はつくでしょう。

国立国会図書館長の給与を減額 それでも年2912万円」
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050407#1112882328

の通り、年収2364万円(!)も貰っている「専門調査員」がいるような、恵まれた組織ですから、高給取りの専門調査員が見るのも(正に「専門調査」ですね)一計かもしれません。高い専門能力を持っているはずですから、朝飯前の簡単な仕事でしょう。

追記:

その後、7月20日付けで、警察庁刑事局長(!)の職にあった方が、国会図書館専門調査員になったことを、新聞記事で知りました。適任者が得られてよかったですね。>国会図書館

甲子園で原爆忌の黙とうで行き違い、朝日新聞社が謝罪

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050806-00000417-yom-soci

本部側には高陽東の黙とうしか伝わっておらず、「全代表校に呼びかけるとの話は聞いていない」と、役員が呼びかけを制したという。
同社は「社内の連絡の不十分さから、(高陽東の意図が)大会本部や日本高野連に伝わらず、ご迷惑をかけた」としている。

「制止した」行為の問題性を、「社内連絡の不十分さ」にすり替え、矮小化して、謝罪(朝日が謝ることでしょうか?)で事態をおさめようとする意図を強く感じますね。夏の甲子園と言えば、「清く正しく美しい」若人の祭典というイメージで朝日の紙面を美しく飾る、一大イベントですから、そういったイメージ(虚像ですが)に傷をつけかねないネガティブな話題は徹底的に封じ込めたいんでしょう。

刑事の控訴審

最近、1審で有罪判決を宣告され、「納得できないので控訴審での弁護を依頼したい。」という人からの相談が増加気味です。
対応できる場合は、できるだけ対応するようにしていますが、そういった相談を受けていると、
1 1審で依頼していた弁護士は刑事事件を知らない人だった、依頼して失敗した
2 1審で依頼していた弁護士にこういう立証をしてほしいと言ったのがしなかった
3 私は、本当はこういうことを言いたかったのに、言えなかった
といった不満が、必ずと言ってよいほど出ます。
1については、現状では、弁護士に関する情報があまりにも不足していて、そういう中で適切な弁護士を探し出すことの困難さを現していると言えるでしょう。私の場合、取り扱い分野が比較的はっきりしているので、依頼があっても、取り扱わない分野であれば、その分野に詳しい知人の弁護士等を紹介することにしていますが、そういうことをしない弁護士のほうが多い(何でも自分で取り込んでしまう)ようです。対策としては、インターネットを活用するなどして、刑事事件に詳しい弁護士を徹底的に探すしかないでしょう。どうしても巡り会えない場合は、自分が住んでいる地域の弁護士会に「刑事弁護委員会」というものが必ずありますから、そういったところに相談してみるのも一つの方法ではないかと思います。
私の場合、「刑事事件セカンドオピニオンサービス」ということもやっていますが、そういったサービス提供ということも、今後、もっと広がってもよいのではないかとも思います。
2については、控訴審段階でそういった相談を受けると、受けたほうも非常に難しい問題を抱えることになります。刑事の控訴審では、1審の段階で請求可能であった証拠を控訴審で初めて請求することが基本的に許されておらず、「やむをえない事由」がある場合に例外的に可能になるということになっています。「1審で弁護士と意見があわなかった」といった事情は、やむをえない事由とはみなされません。立証したいことは、極力、1審の段階で立証しておかないと、控訴審ではできなくなってしまう恐れが大きいのですが、このことを知っている人は皆無です。
3については、端的に言って「コミュニケーション不足」でしょう。その弁護士の仕事の進め方(残念ながら「俺は弁護士で偉いんだぞ」といった姿勢でふんぞり返った進め方をする場合が多い)や、そもそもコミュニケーションをきちんととるほど刑事事件に詳しくないといったことなど、様々な原因によるものと思われます。対策としては、聞きたいこと、説明してほしいことは、辛抱強く質問し説明を求めて、そういうことにきちんと対応しない弁護士は、思い切って解任することも検討したほうがよいでしょう(ただ、余計なお金がかかるなど問題はあるのですが)。
やはり、1審の段階から、1について述べたように、適任の弁護士を探して依頼する、ということが必要ではないかと思います。

カネボウ粉飾決算、各部門が手口競う 情報を収集、研究

http://www.asahi.com/national/update/0806/TKY200508060343.html

繊維部門の元幹部は「社内の食堂で同僚に会うと『お前の部門は今期、どのくらい(粉飾した)数字を出すの?』としばしば情報収集していた」と話している。

カネボウと言えば、以前は派手にテレビCMを繰り返していて、「for beautiful human life」などと言っていたのを覚えていますが、裏では会社ぐるみでこんなことを繰り返していたんですね・・・。

カネボウ粉飾:監査法人が虚偽報告書 債務超過を圧縮

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050807k0000m040120000c.html

関係者によると、カネボウの依頼を受けた中央監査法人は97年7月から興洋の実態調査を開始。同8月末ごろ、「97年4月現在、興洋の債務超過額は約459億円」とする中間報告を行った。ところが、わずか4カ月余後の98年1月の報告書には、同時期の興洋の債務超過額を約386億円と約73億円も少なく記載し、カネボウ側に提出した。

約4か月で、債務超過に関する調査結果が約73億円も減るのは、普通じゃないでしょうね。

同対策委はこのうち虚偽の報告書を98年1月の取締役会に提出。取締役会は「毎年約10億円の経常黒字が可能」と判断し、支援拡大を決定した。
カネボウは98〜03年度、興洋に総額約796億円の支援を行ったものの興洋の業績はまったく好転せず、興洋は昨年1月解散に追い込まれた。

今後の問題は、ここでしょう。上記の「支援」(融資)は、今後、特別背任罪に問われる可能性があります。融資にあたり、上記の報告書が重要な資料として使われ、提出した監査法人も、虚偽性や重要性を認識していれば、関係者が、刑事では特別背任罪の共犯(共同正犯あるいは幇助犯)、民事でも共同不法行為者となる可能性が出てきます。それもかなりの蓋然性で。
約796億円が、全部が全部、立件されるとは思いませんが、そのうちの相当額が立件、起訴されるといった事態が生じれば、監査法人に対し、巨額の損害賠償請求が行われる可能性が、現実のものとしてあり得るでしょう。
特捜部が、粉飾決算だけで満足して捜査を終結させようとしているとはとても思えず、いくつかある目標(その中には「政界」を視野に入れたものもあり得ます)の中で、「巨額背任」は、立件が目指されているものの一つと推測されます。

 中央青山監査法人の話 担当会計士とカネボウ旧経営陣とのなれ合いはなく、交渉もしていない。

本当にこのコメント通りなのかどうかは、今後の捜査によって明らかになるでしょうね。