コクド:西武株大量売却 インサイダー取引で調査へ

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20041017k0000m020081000c.html

そのまま放置すれば上場廃止必至、ということで、パニック状態になって、こういうことになったのだろうと推測しますが、「インサイダー取引規制」という、別の極めて重要な問題をおざなりにしたことで、進退窮まってしまった、という印象を受けます。
何でもかんでも弁護士に相談しろ、とは言いませんが、素人判断で動ける状態でもなく、顧問弁護士なり顧問法律事務所の助言を受けつつ行動するという手順が踏めなかったんでしょうか?

うそ発見、1000人に1人は9割正解の能力保有と

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200410150017.html

岡口Jのブログでも紹介されていた、このニュース。

また、特定分野のうそだけを正確に識別することのできる人が13人見つかった。犯罪に関するうそだけは8割以上見抜けるが、感情をめぐるうそは苦手という警察官らがその例だという。

確かに、そういうことはあります。私の場合、検事在職中は、相当数の被疑者を取り調べ、公判で相当数の被告人や証人に尋問し、という生活を、毎日毎日続けていると、相手の表情、質問に対する返答までの気配、質問をたたみかけた場合の反応、などで、「あ、これは嘘をついているな」と確信することがあり、そういった「根拠をもった確信」を持った場合、はずれたことは1回もありませんでした。自白した後に、被疑者や被告人から、「あのとき、落合検事に厳しく追及されて、嘘をついて否認するのが、本当に辛かった。」と、述懐されたこともありました(こういう能力は、もう、発揮する機会はないので、自慢とかではなく、単なる思い出話です)。
ただ、自信を持つのは悪いことではありませんが、人間には「見込み違い」ということもあるので、自信を持ちすぎることも、時に危険です。やはり、常に、真実に対する畏れ、といったものを持ち続けている必要があると思います。
昔、司法試験に合格した際の祝賀会の席だったと思いますが、早稲田大学総長も務められた西原春夫先生が、スピーチで、「人を裁くということは、本来、人が行ってはならないことであり、神や仏しかやってはならないことであるが、人の世では人を裁く仕事が必要であり、法曹という仕事もある。皆さんは、本来、人がやってはいけない仕事をする以上、常に謙虚に、神仏に近づく努力を続けなければならない。」といった趣旨のお話をされて、大変感銘を受けた記憶があります。

金融庁の調べに妨害否定 告発された元UFJ役員ら

http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2004101601003470
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041016-00000246-jij-soci

これでは逮捕・勾留は必至でしょうね。
先日、逮捕が確実、という被疑者について、警察にかけあって、逮捕はせず在宅にしてもらいましたが、やはり、認めるべき事件では、きちんと認めて行かないと、身柄は取られる、他の捕まらなくてよい人まで連動して捕まる、がんがん取り調べられる、処分は重くなる、保釈金が必要になる、裁判所の心証も害して実刑、といった感じで、次々と不利益なことが発生することになりかねません。
争うべき時には徹底的に争うが、認めるべき時には気持ちよく認める、ということは重要だと思います。ただ、こういった判断は、刑事事件に精通した人の的確な見通しが必要でしょう。UFJが依頼しているような弁護士は、企業法務中心で儲けている「ビジネス弁護士」か、「昔の名前で出ています」という感じの大物ヤメ検(意外と能力が低い)である可能性が高いはずなので、的確なアドバイスができていない可能性もあるでしょう。
ヤメ検に刑事事件を依頼するメリット、デメリットについては、以前、このブログで書いたことがあるので、興味のある方は、「ヤメ検」で検索してみて下さい。

ディベート

新任判事補の研修では、ディベートもやるようです。

http://plaza.rakuten.co.jp/droppy/diary/200410150000/

これは、非常に良いことだと思います。法律実務家の仕事の中では、特定の人と、あるいは、複数の人と、議論をしながら一定の結論を出す、という場面が多いからです。裁判官の場合も、合議の中で議論の上、結論を出すだけでなく、当事者といろいろなやりとりをしたりすることも多いでしょう。時々、自分なりに一定の結論を出してしまうと、その意見に固執して、他人の意見を受け付けず、他人に対して反感を抱いたり攻撃的になる、という人を見かけますが(どちらかというと頭が良い人に多いという印象です)、それでは、建設的な議論ができませんし、より良い方向へ軌道修正して行く、ということができないだけでなく、誤った考え方を持ってしまった場合も、修正不可能になり、大変危険です。
裁判官の場合、法曹の中でも、特に頭の良い人が集まっていることは間違いなく、上記のような「独善」の弊害に陥らないためにも、ディベートの経験を積むことは非常に有益であろうと感じました。

「スローキャリア―上昇志向が強くない人のための生き方論」

スローキャリア

一昨日に、たまたま書店で見かけて購入し、読んでいるところですが、興味深い内容です。
検察庁が検事に「スローキャリア」という考え方を許容していないことにも現れているように、日本の従来型の組織では、「組織内で昇進するか、昇進せず不遇な人生を送るか」といった二者択一を迫るという傾向が顕著です。この本は、そういった人生とは別の人生を歩みたいという人のキャリア形成を考えるという内容で、働き方がますます多様化する中で、非常に参考になる1冊だと思います。

法科大学院の志願者激減 新司法試験の合格率懸念?

http://www.asahi.com/national/update/1017/003.html

志願者数が半数以下になったのは20校。3割に落ち込んだり、755人だった志願者が今回は76人と、10分の1になったりした所もあった。

合格率が2割、3割では、高額の学費を払ってロースクールへ行くことに躊躇する人が続出して当然でしょう。
志願者が76人では、ロースクールとして存続できるんだろうか?という素朴な疑問を感じます。

事務職員募集中

私の事務所で、以下のような条件で事務職員として働ける人(1名)を募集しますので、興味のある方は、このブログの「プロフィール」欄にあるメールアドレスまで、お名前、性別、年齢及び簡単なプロフィール記載の上、ご連絡下さい。ご希望に応じられない場合もありますので、予めご了承下さい。

1 勤務時間等
 毎週月曜日、水曜日、金曜日の午後4時から午後6時まで(祝日、夏期休暇期間、年末年始は休み,なお、勤務日・時間は応談)
2 勤務場所
 イージス法律事務所(都営新宿線都営大江戸線森下駅から徒歩約5分程度)
3 仕事の内容等
 書類整理、裁判所への書類提出など。経験不問。法学部出身、司法試験受験中など、法律の素養のある方が望ましい。事務所まで片道1時間以内で来られる方。
4 給与等
 性別不問。年齢は35歳くらいまで。給与は面談の上決定。なお、勤務開始は、来年1月7日(金曜日)からの予定。

ひどいヤメ検

奥村弁護士のブログで、ひどいヤメ検の実例が。

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20041017#p3

こういった事件で、執行猶予中の再犯では、大阪地検の次席に言っても検事長に言っても、執行猶予はつきませんね。
検察庁は、完全な年功序列の世界ですから、能力的に疑問符がつくような人でも、その疑問符がそれほど大きくなくて、人間的にとんでもない人でもなくて、ある程度早めに任官して、最後まで粘っていれば、田舎の検事正一か所くらいは務められます。
ただ、そういう人は、もともと能力が知れており、退官前の数年間は、決裁官として、自分では事件処理等を行わず、他人がやったことに、つべこべと文句を言いながらハンコを押すのが仕事、という状態になるので、もともと低い能力が、みるみるうちに劣化することも少なくありません。また、最近は、交通事件について裁判所の姿勢が厳しくなっているので、昔なら執行猶予が付いたようなケースでも実刑、という場合はあって、そういった変化をフォローしていない(できていない)年寄りのヤメ検というのは、おかしなプライドや先入観などを持っているだけに、かえって間違った意見を平気で言う可能性もあります。
おそらく、奥村弁護士のブログでの実例は、そういった類のヤメ検だったのだろうと思います。被告人が本当に気の毒です。
こういう悲惨な結果にならないように、元検事正とか、そういった名前に惑わされず、私のブログでも読んで(無料です)、賢明な選択をしていただきたいと思います。

『スパイ・ゾルゲ』処刑記録を発見 最期のやりとり明らかに

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20041017/mng_____sya_____008.shtml

尾崎の処刑は四四年十一月七日午前九時三十三分から同五十一分。「瞑目(めいもく)し職員に謝礼し、南無阿弥陀仏を二唱し執行を受く」とある。
 続いてゾルゲが同日午前十時二十分から同三十六分に死刑を執行された。「職員に対し『皆さまご親切有り難う』を繰り返し」刑場に進んだ。

立派な最期だと思います。人間として、最後の瞬間まで、こうありたいものだと思いました。

「検索サービスが取り締まられて良いか?」に関連して

http://beatniks.cocolog-nifty.com/cruising/

の10月12日のブログで、上記の点について論じられている。問題意識や考え方の方向性は、私と共通していると思う。
その中で、

ロボット型については、機械的にリンク先を収集しているのであるから、リンク先のホームページの内容に対する認識はないと考えられるので、常に、幇助の故意(幇助意思)はなく、幇助犯が成立する余地はないと考えられる。
 これに対して、ディレクトリ型については、人が審査をしているのであるから、リンク先のホームページの内容を認識していないとは必ずしも言えない。そういう意味では、この場合には幇助犯が成立する可能性があるといえそうである。

とあるが、問題状況を、より明確にするため、若干、補足しておきたい。
 まず、ディレクトリ型については、確かに「人が審査」しているのであるが、審査の際に、「何をどこまで審査すべきか」という問題が、常についてまわる。児童ポルノを掲載しているとか、違法な物(薬物、銃器など)の売買を行っているとか、わかりやすいものは審査もしやすい。しかし、内容自体は、即、犯罪行為ではないものの犯罪につながりやすい要素が認められるとか、特定の売買等の行為について許可・登録が必要な場合にサイトを見る限りでは許可・登録の有無が不明であるなど、いわゆる「グレー」なものについて、どう対応すべきかは、非常に悩ましい。また、サイトの構造が重層的で、「深い」部分に、いろいろなコンテンツ等が含まれている場合、審査にあたって、どこまで見て行くかという問題があるし、それとも関連するが、リンクをはっている場合、リンク先について、どこまで審査の対象にするか、という問題もある。一口に「審査」と言っても、実際に行う立場としては、悩ましい関門がいくつも待ちかまえているのである。
 審査の結果、あるサイトを掲載すると決まっても、そのサイトが、審査後も、一定の内容を維持しているとは限らない。子供の日常生活を掲載した、ほのぼのとしたサイトだったものが、いつの間にか児童ポルノ愛好者が集うサイトに変貌しているかもしれない。審査後、何をどこまで見て行くか、という問題もあるのである。
 また、ロボット型の場合、ロボットが拾ってくる部分について、人が介在しない以上、「拾ってくる」ところまでは、少なく法的責任は発生しないと思われるが、拾ってきたものについて、特定の上、削除等を要請されるという事態が、近時、激増している。検索エンジンでは、一般的に、短い文章付きでサイトを紹介する体裁をとっている場合が多いが、そういった文章について権利侵害の疑いがあれば、運営者として放置することはできないし、リンク先について権利侵害の疑いがある場合、削除を要請された立場としては、「単にサイトの存在を指し示しているに過ぎない」と割り切って放置できるか、というと、やはり悩ましいものがある。刑事の裁判例の中には、リンクをはる行為についても幇助行為と認定したものがあり、「放置」の態様によっては、幇助として刑事責任まで問われる可能性を、完全には排除できないというのが現在の日本の現状である。
 私が、winny幇助公判について、強い問題意識を持ちつつ注視している背景には、日本におけるこういった現状があることを指摘しておきたいし、近日中に出版予定のプロバイダ責任に関する書籍中でも、そういった問題意識に基づいて小論を執筆し、また、座談会にも臨んでいるのである。