<集団自殺>埼玉の7人 ネットにのめりこみ、子供に遺書も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041012-00000135-mai-soci

こういう事態を防止するために、警察に何ができるか、が、今、正に問題になっているのが、

http://www.npa.go.jp/cyber/security/index.htm

です。
警察は、警察法上、

(警察の責務)
第2条
1 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。

という立場にあり、自殺の恐れがあるような人がいる場合、プロバイダ等から情報を収集して、最悪の結果を防止しようとしますが、プロバイダ等にも、通信の秘密を守る義務など、法令による「しばり」がかかっているので、厄介な事態が生じます。
日本の刑罰法規では、「自殺」に関与することは処罰の対象になりますが、「自殺そのもの」は犯罪ではないので、自殺しようとしている人がいる、というだけでは、裁判所の令状は出ませんし、刑法上の緊急避難を理由に情報開示するといっても、「緊急性」等の判断には多大な困難が伴います。
私は、こういった問題について、時々相談を受けることがありますが、一応、元検事の弁護士なので、自分の知識、経験や法令に照らして、厳正に判断を下しています。しかし、通常のプロバイダの担当者レベルで、こういった判断をすることは、非常に厳しいことだと思います。

実務家になったらホームページもブログもやめるべきか? (続)

司法修習を終えて裁判官に採用された人が、いろいろと考えているようです。

http://plaza.rakuten.co.jp/droppy/diary/200410100000/

最終的には、自身で決めるしかないので、私ごとき者が、とやかく言うべき問題ではありません。
ただ、私が感じていることを若干述べたいと思います。
知ったような口をきくのは趣味ではないのですが、今の日本における問題は、「自立した個人というものが少ない」ということだと思います。所属する組織、名刺に書いてある肩書き、そういったものに付随する諸々の役得、特権、といったものが常に先に立って、組織、肩書きなどを離れたところで、自立した個人、というものが見失われている人があまりにも多いと思います。
そういった土壌があるので、組織のため、自分の地位を守るために、醜い違法・不当な行為に及ぶ人が多いのではないかと思いますし、そこまで至らなくても、皆が大勢に流されてしまって、後戻りができない窮地に陥っている、という例も多いと思います。
今後の日本では、まず、自立した個人というものが確立されていて、そういった人々が、所属する組織とか就いている地位などの中で、自らの見識とか良心に従って発言し、行動する、そういう社会にならないと、日本は、いつまでたっても、自らの手で自らの社会を改革することもできない、無力な国であり続けるしかないでしょう。
その意味で、自らのホームページ、ブログなどの場で、節度を保ちつつ、いろいろな情報を発信し、物事を真面目に考える、といったことは、非常に大切なことだと思いますし、そういった行動自体を、頭ごなしに好ましくないとか、控えるべきだ、などと言って封殺する組織があれば、そういった組織に明日はないと言っても過言ではないでしょう。
もちろん、人は、所属する組織や就いている立場等により、慎重な発言、行動が求められますから、何を言ってもやっても良い、というわけには行きませんが、裁判官であっても、検察官であっても、また、それ以外の公務員であっても、上記のような意味での情報を発信して行くことは、その人にとって有益であるだけでなく、そういった情報の受け手である不特定多数の国民にとっても有益なものであると強く思います。
迷っている人は、安易にやめたりせず、誇りと信念を持って、とは言っても変に肩に力を入れず、良い意味で気楽に続けてもらいたいものだと思います。

大型滑り台:道路に転落、母死亡、二女は重体 広島

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20041013k0000m040122000c.html

なくなった方、重体になっている方は、楽しいはずの休日が、このような不幸な事故となってしまい、本当にお気の毒なことだと思います。
ただ、こういったニュースを見た際、ロースクールで学んでいるような人は、「被害者本人及びその遺族は、誰に対し、どのような根拠で、どのような民事責任を追及できるか。」「誰に、どのような刑事責任が生じうるか。」といったことを考えてみると、勉強になるのではないかと思います。その意味で、日常起きる様々な事件、事故自体が、法的思考を訓練する上での絶好の教材と言うことができるでしょう。

<横浜地検>副検事が交通死遺族に暴言 担当代え謝罪

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041013-00000013-mai-soci

おそらく、処分を決定する上で、何らかの障害があるのだと思いますが、それにしても、検察庁送致後、時間がかかりすぎていると思います。遺族への配慮が足りないだけでなく、捜査能力も低い副検事なのでしょう。
副検事の中にも、検事以上に能力があり人格的に優れた人もいますが、競争の乏しい役人社会で上に追従し下に威張って生きてきたことによる役人根性丸出しの人も少なくなく、弁護士とか、一般の人などに対し、高圧的、配慮に欠く言動に及んで、こういったトラブルにまで至る場合もあります。
この事件では、地検の検事正宛の上申書が出されたとのことですが、こういった「小役人」は、下には強いが上には滅法弱いので、上級官庁である高検(検事長宛)とか最高検検事総長宛)、法務省法務大臣)宛に上申書を出すのも、一つの方法です。
また、法務省内に、検察官適格審査会というものがあり、定期的に検察官の適格性を審査することになっていますから、そういったところに、不適格と考えられる検察官について、文句を言ってみるのも一つの方法でしょう。
それにしても、この副検事は、この事件からはずされ、ややこしい事件から離れることができ、処分も受けず、平然と仕事を続け、誰かがこの事件を引き継いだわけで、割り切れない話ではあります。

横須賀で自殺の2女性、「ほう助」で異例の書類送検へ

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041013i208.htm

この種のケースは、単に犯罪ではない自殺が「並存」しているのではなく、相互に(?)自殺を幇助しあったもので犯罪である、ということを、強くアピールして(世間や裁判所などに)、この種のケースを「犯罪」として取り扱うことの正当性をアピールするのが警察の目的ではないか、と感じます。

逆恨み殺人、死刑確定へ 暴行被害通報の女性を刺殺

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041013-00000140-kyodo-soci

1審が無期懲役、2審で死刑となっていたため、最高裁の判断が注目されていましたが、死刑が支持されました。
死刑適用の基準を明らかにした、いわゆる永山事件判決で、最高裁は、「死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合には、死刑の選択も許されるものといわなければならない」としています。
上記のとおり、「ことに殺害された被害者の数」とされており、被害者数が重要な要素であることは間違いありませんが、その他の諸事情との総合評価如何によっては、本件のように、被害者が1名であっても死刑選択、というケースが生じえます。
軽々にコメントできませんが、一つの先例として重要な意義を持つことは間違いないでしょう。