日航機123便墜落 最後の証言 (平凡社新書)

新書885日航機123便墜落 最後の証言 (平凡社新書)

新書885日航機123便墜落 最後の証言 (平凡社新書)

たまたまネット上で目にして、買って読んでみました。あまり期待はしていなかったのですが、予想以上に中身があり、読めて良かったと思いました。
日航機墜落事故に関する本は、私も複数読んでいるのですが、本書では、アメリカ在住のボーイング関係者や当時の司法省関係者にも丹念に取材した結果が反映されていて、そういったところは、従来、あまりまとまっては取り上げられていなかったように思います。事故発生当時やその後の、アメリカ側の関係者の動きや考え方が垣間見えて、興味深いものがありました。
私自身、捜査が大詰めを迎えていた平成元年当時、東京地検で一緒に働いていた先輩検事が前橋地検へ応援派遣されて捜査に従事していて、断片的ではありましたが、その人から捜査について話を聞くこともありました。航空機事故について、刑事責任を追及しようとする日本側と、故意、悪意や重過失がない限り原因究明を優先し刑事責任追及は適当ではないと考えるアメリカ側の、考え方の隔たりが本書でも紹介されていて、難航していた当時の捜査のことが思い出されました。
事故後、既に33年が経過し、当時の関係者でも、証言できる人は徐々に減っていています。題名通り、生の証言を載せた本としては、最後のほうに位置することになりそうな気がしました。
事故で亡くなった方々のご冥福をお祈りしつつ、読み終えました。