- 作者: 半藤一利,御厨貴,原武史
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2008/03/21
- メディア: 単行本
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昨年末の安倍首相による靖国神社参拝を機に、昭和50年代にそれまで参拝していたのを取りやめられた昭和天皇や、それについての記述があった富田メモ(富田元宮内庁長官によるメモ)も話題になっていて、以前に読んだ本書を引っ張り出し、新年最初の読書で通読してみました。
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080414#1208132067
富田メモにある、問題の一節には、昭和天皇の真意を反映していないという根強い反論があるようですが、卜部日記でも裏付けられているなど、エビデンスの評価としては、A級戦犯合祀が参拝取りやめの原因と見るのが自然かつ合理的で、他に理由は考えられないだろうという心証を改めて持ちました。
それ以外でも、昭和天皇のリアルな実像が本書では語られていて、新年最初の読書にふさわしい重厚なものがありました。
折しも、
黒塗りせず「昭和天皇実録」公刊へ…宮内庁方針
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140101-OYT1T00225.htm
新資料も含まれ、昭和史研究の基礎資料として専門家が注目するだけでなく一般にも高い関心を呼びそうだ。
と報じられていましたが、戦後の、昭和が終わるまでの、戦後処理に関する様々な関係者の、まだ生々しかった戦前、戦中の記憶を踏まえた考え、行動、対応といったことを、今の時点で振り返り、今後へとうまく参考にしつつ取り込むことを、真剣に検討し実行しなければならないのではないか、ということを、本書を再読して痛感しました。我々は、単に心情や信念といったものに左右されるのではなく、歴史や先人の営みに学びつつ行動しなければならないでしょう。