有罪確定後のDNA鑑定請求権、憲法上は受刑者になし 米最高裁

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2613435/4289567

米国のなかでアラスカ州は、有罪確定後のDNA再鑑定を認めていない6州のうちのひとつ。州当局が申し立てていた、DNA再鑑定の請求権を誰がもつかを決定するのは州議会であるべきだという主張が認められた。
ジョン・ロバーツ(John Roberts)連邦最高裁長官は法廷意見のなかで「DNA鑑定には、誤って有罪とされた者の潔白を証明するうえでも、有罪である者を特定するうえでも比類のない能力がある。同時にDNA鑑定だけで常に事件が関係するわけでもない。ほかに有罪を示す十分な証拠と、DNA鑑定の結果に対する説明が存在するときは、科学のみでは受刑者の無罪は証明できない」と述べた。
当初の裁判でオズボーン受刑者の公選弁護人は、かえって有罪の確証になってしまう可能性があるとして、受刑者のDNA鑑定を拒んだ。その結果、オズボーン受刑者が受けたDNA鑑定は正確度がより低いもので、そこで全人口の15%にしかみられないDNA型が示された。この結果と、共犯として起訴されていた人物の供述とによって、陪審はオズボーン受刑者を有罪とした。
控訴が却下された時点で、オズボーン受刑者はDNA鑑定の再実施を求めた。この抗告はアラスカ地裁には却下されたが、さらに上の連邦裁は再鑑定を認めたため、アラスカ州側が最高裁に判断を求めていた。

足利事件が大きな問題になっていますが、それとの関係でも、上記の米国の事件には興味深いものがあります。日本的な言い方をすれば、立法政策の問題、という判断が米国最高裁によって下された、ということになりそうです。ただ、5対4の僅差であったということですから、かなり微妙な面はあったようです。
日本の場合も、この種の再鑑定を憲法上の権利とまで言うのは、かなり無理があると思いますが、立法上の手当を行い、過去の鑑定について疑問が生じた場合は再鑑定を行う、そのための鑑定資料は年限を定めて適切に保存しておく、当初の鑑定の際、やむをえない事情がない限り、再鑑定ができるだけの資料を保存することを義務づける、といったことは、足利事件の経過を見ても、必要なことであり、今後、早急に検討、実現されるべきではないかと思います。