秋田連続児童殺害 被告に無期判決 「計画性なし」死刑回避

 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080320-00000063-san-soci

判決理由で藤井裁判長は「2人の将来を奪った結果の重大性は言葉に尽くせない。死刑適用も十分に考えられる」と言及。しかし彩香ちゃん殺害は衝動的で、豪憲君殺害も計画性は認められないなどと情状を考慮し、判決を無期懲役にとどめた。そのうえで仮釈放について「刑責が重大であり被告の性格改善が容易でないことに十分注意することを希望する」と述べた。

かなり事実認定が難しい事件の場合、裁判所が「落としどころ」を考えて、事実認定については検察ストーリーを採用するものの、量刑については、立証の弱さを考慮して求刑よりも減じる、ということが起きる場合があります。本件についても、あくまで印象ですが、そういった考慮が働いたのではないか、という気がします。
報道によると、豪憲君殺害については被告人も認めていて、罪体の成否が争われていたのは彩香ちゃん殺害で、彩香ちゃん殺害については、目撃者もおらず、橋の欄干から川への転落という態様でもあり、「殺人事件」「転落事故」の双方の可能性がどうしても残ってしまう、という側面があったのではないかと思います。裁判所としても、殺人事件との認定はしたものの、事故であったのではないか、真相は別のところにあるのではないか、という疑念が完全には払拭できず、被害者2名で死刑選択も十分あり得たにもかかわらず、死刑という究極の刑罰を選択するには躊躇を覚えたのではないか、というのが私の推測です。