映画「永遠の0」

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ちょっと前に、海外からB787で戻ってくる途中、映画でも観ようかとパンフレットをぱらぱらと眺めていたところ、これがあって、そういえばまだ観ていなかったなと思って観はじめました。2時間を超える、結構長い作品ですが、飽きることなくじっくりと鑑賞できました。たまたまですが、飛行経路が、フィリピン、台湾、沖縄付近を日本へと向かうもので、多くの将兵が、零戦が、散華した空域と重なるものがあって、今や平和な空を最新鋭のB787で飛行しながらの鑑賞には、実に感慨深いものがありました。
特攻機が標的の空母などへの到達前に猛烈な対空砲火により撃墜されることがかなり多かった様子がリアル、冷徹に描かれていることは、よく描かれているなと思いつつ、とかく美化されがちなこの戦法(ということすらできないものでしたが)の無謀さをしみじみと感じました。ただ、そういう中でも、巧みに対空砲火をかわしつつ正規空母に大損害を与えた実例もあって、そこもこの映画ではよく描かれていたと思います。史実についてはよく検討されていて、観ていて違和感はありませんでした。
誤った国策、戦争指導の中で、死へと確実に進む自分自身を、家族を思いつつもどうすることもできない将兵の悲しみや絶望感、そういった人々が、残された家族が、戦後、懸命に生きる姿には、涙なしでは観られないものがあり、上記のように、激戦が展開された空域を飛行していたこともあって、今まで観た映画の中でも特に印象に残るものになりました。
戦後の日本が、戦争の惨禍から立ち上がり、再び戦争をしないことを固く誓って再出発したことや、その平和への願い、誓いが動揺しつつあること、その中で我々日本人が今後どのような道を歩むべきかといったことを、一時の感情や熱気といったことに踊らされるのではなく、冷静に、国家百年の計として考えなければならないと思いました。祖国を思い、家族を思いつつ、戦陣に散り戦火に倒れた人々に対して、この映画は捧げられるべきものだろうと感じました。