取り調べ映像、被告側弁護士がNHKに提供

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20130530-OYO1T00289.htm?from=main2

弁護士は判決確定後、男性の承諾を得てDVDをNHKに提供。NHKは4月5日の報道番組「かんさい熱視線」で、男性の顔をぼかし、音声を変えてこの映像を放送した。可視化問題を巡り、実際の取り調べ映像がテレビで放送されたのは初めてだった。

読売新聞の取材に対し、検察幹部は「証拠の目的外使用は明らかで、上級庁とも検討して懲戒請求が相当だと判断した」としている。これに対し、弁護士は「DVDは公開の法廷で再生され、裁判員や傍聴人もみている。誰の名誉も利益も害していない」と話している。

問題点については、先日、

NHK 大阪地検激怒で「取り調べ可視化」番組を放送延期した
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20130527#1369635932

でコメントした通りですが、現行の規定がそのまま改正されなければ、確定した事件(その中には問題があり今後、再審申立を考えているといったものもあるでしょう)について、問題を広く世に問いたいと考えたような場合でも、証拠は、報道機関を含め第三者には誰にも見せることすらできない、ということになり、検察庁が、関係者に縛りをかけ問題を封殺し、発覚すれば上記の記事のように懲戒申立をして嫌がらせをするなど圧力をかけるネタになるだけでしょうね。
証拠というものは、特に法廷で取調べられたものは、社会で共有すべき財産のような側面があり、もちろん、プライバシー、名誉等々の利益に対する配慮、措置は必要ですが、確定後であっても、一切、誰にも見せることすらできない、といった規制は過剰過ぎると思います。
検察庁は、単に嫌がらせをして圧力をかけているだけのつもりだと思われますが、これを契機に、この規制の問題点についての認識、批判が広がり、改正へとつながる、1つの大きな切っ掛けができたという側面は重視すべきだと思います。日弁連も、弁護士政治連盟で政治家と飲んだり食ったりしているだけが能ではなく、こうした問題をきちんと伝え、改正へと動くべきでしょう。