違法ダウンロードの罰則化法案成立 ユーチューブやニコ動は大丈夫なのか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120620-00000008-jct-sci

ユーチューブやニコニコ動画では、動画を一時ファイルとして保存して再生するプログレッシブダウンロードの方式が採られているため、「アクセス出来ない様にしないと我が家でも逮捕者出ちゃう」といった疑問さえ上がった。

なお、ユーチューブなどのプログレッシブダウンロードやストリーミングについては、「2年前の法改正時と同じで、視聴するだけなら違法には当たりません」と説明する。ただ、一時ファイルを別のソフトで視聴したり、別の記録媒体に保存したりする場合は違法になるという。

罰則がないと実効性が伴いませんので

上記のようなプログレッシブダウンロード等が、処罰の対象となる違法ダウンロードにあたらない、というのは、文化庁が言っているだけで、裁判所がそのように判断しているわけではありませんから、刑罰法令の解釈、適用の最終かつ決定的な判断権者である裁判所によって、そういった行為が違法であり処罰されるものである、と判断される可能性はあるでしょうね。
違法ダウンロード罪は親告罪になっていますが、そもそも、権利者等が告訴しようと思っても、違法ダウンロードを、いつ、誰が、どこで、どのようにして行っているのか、捜査してみないとまったくわかりませんから、誰が、という点は氏名不詳でも告訴状が出せるとしても、その他の点が皆目不明では、告訴事実が特定できず、告訴は不可能です。結局、警察捜査の結果により違法ダウンロードをした者やその行為内容が判明し(ログの解析等により)、その結果を警察から「教えてもらって」、はじめて告訴できる、という流れになるはずです。親告罪、といっても、実態は、何をどの程度立件するかは警察のさじ加減と権利者等との談合次第、という、実効性どころか、恣意性や不公平さ、不明朗さが大きな、巨大なグレーゾーンができてしまい、大多数の善良な一般国民が「刑罰」という威嚇の中で怯えながらインターネットを使わざるを得ない(ごく少数の悪質な違法ダウンロード者は捜査の対象にならないよう巧妙に痕跡を残さないでしょう)、まことに不幸な世の中になってしまった、ということでしょう。